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概要

kouchirouso_114_20180329

94 高知論叢 第114号ての協議を始めることになった。地域での買い物課題の解決を意図して他のスーパーとの協議もしたが,運営主体がみつからなかった。JA との協議では,地域住民が利用するなら施設を無償で提供するという話にもなったが,運営主体の問題はなお残っていた。一方で,最初は店舗をどうするかを考えるために協議が始まったが,地域住民へのアンケート結果からは,コミュニティの場がほしいという声が多いことが分かった。地域にスーパーがなくなったことで,買い物のついでに行われていた住民同士の交流・関わり合いが弱くなっていたということである。そこで,地域に単なるお店がほしいのか,それとも地域交流の拠点がほしいのか,という問題を考えるように協議会の方針が変化した。議論の中では,車で10分もいけば他の地域にスーパーがあり,地福地区では店舗の経営が成り立たないのではないか,という声もあった。しかし,自分たちが10年後,20年後も自分が運転して車で移動できますか,というように,品揃えや仕入れのよさなどでよりも,旧村エリアのなかに拠点があることによる安心感について議論した。新しい店舗に関する議論をすすめるなかで,人口減少時代において地域づくりを考えるという意識改革が必要である,という気づきがあった。スーパーを運営するというイメージではなく,現在地域に必要なものは地域課題を考えて議論するための拠点(よりどころ)であり,拠点は住民とともに成長していくものであるといった考え方である。拠点としてのついでに販売スペースをつくる,というイメージであり,現在の観点からみれば,将来的には買い物スペースも小さくなって,地域課題に応える場所としての位置づけが大きくなっていくかもしれない,というようなことである。地域課題の解決のための交流拠点の開設の議論は,「地福ほほえみの郷構想」としてまとまった17。「地福ほほえみの郷構想」の目的は,地域のよりどころと17 「地福ほほえみの郷構想」は,2014年3月には,山口県の中山間地域支援のための施策である「やまぐち元気生活圏づくり」事業における地域の将来計画「地域の夢プラン」として位置づけられた。地福地区の「夢プラン」は山口県庁ホームページで確認できるが,2018年には改定され新しい「夢プラン」がつくられる予定である。