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概要

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96 高知論叢 第114号あたってはNPO 法人を選択した。NPO 法人では利益を出さないといけないので大変だが,2017年現在で活動も6年目になり,地域内外で活動が認知されるようになってきている。様々なメディアに取り上げられるようになり,取り上げられること自体が地域の自信と誇りになってきている。活動を大きく広げるよりは,今やっていることの積み重ねを大事にしようと考えて取り組んでいる。(4)「ほほえみの郷トイトイ」の活動の特徴NPO 「ほほえみの郷トイトイ」の活動の特徴について,3点にまとめて指摘しておきたい18。それは,①事業目的と考え方,②地域運営組織としてのビジネスのあり方,③行政との関係のあり方,の3点である。第1に,事業目的と考え方である。交流拠点「ほほえみの郷トイトイ」では,ミニスーパーの運営と移動販売事業が収益事業として行われている。しかし,事業の目的としては,地域の買い物の場を確保するということにとどまらず,地域コミュニティの再生や地域課題の集約の役割を果たすことが念頭におかれている。ビジネス活動を通じて社会的課題や地域課題の解決に取り組むということからすると,このNPO の活動はソーシャルビジネス,コミュニティビジネスの一形態であるということになる。NPO の事務局長によれば,コミュニティビジネスとして,事業には持続性が求められるが,長く続けるにはボランティアではなく,小さくても事業活動として運営しないといけないという。ボランティアではかかわりのある人たちがいずれ疲れてしまい,見返りを求めるようになってしまうからである。小さな市場・エリアでのビジネスのあり方は,利益優先ではなく,払う側,お客さんに感謝されるようになることを忘れないことが大事で,リピーターを増やすようなやり方を工夫する必要がある。将来が不安なのでお金を節約して貯蓄をするという意識が強くなるような地域のあり方ではなく,多少高くても買ってもらえるように,将来への不安がなく安心して暮らせる地域づくりに向けた事業活動であることが重要である。高齢者の現在の姿は,将来の自分たち18 活動の特徴についての説明は,特に断りのない限り,2017年12月8日に行ったヒアリング調査およびNPO 提供資料に基づいて,筆者が再構成してまとめている。