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概要

kouchirouso_114_20180329

住民による住民のためのビジネスの必要性 97の姿でもある。ビジネス活動を通じて地域の課題解決を図るには,複数の分野・目的が組み合わさった取り組みが重要である。例えば,移動販売は高齢者の見守りを兼ねているし,買い物に来るついでにコミュニティカフェで交流を行うことや,惣菜加工販売は地域での食材提供と女性の活躍の場づくりとして,産直野菜の出荷は高齢者の生きがいづくりを兼ねている,といったものである。地域づくりという観点からみれば,地福地区だけの取り組みにとどまり,周辺の地区が元気にならないというやり方はよくないという。旧村意識も残っているが,NPO としては阿東地域全域を対象に,阿東の地域づくりの一角も担っているという意識・役割があることが大切である。自分たちの地域だけでなく,周りも幸せにしていくことができるようにすることが必要で,コミュニティの取り組みの積み重ねが,大きくは日本全体を元気にしていくことにもなるはずであるという。第2に,地域運営組織としてのビジネスのあり方である。意思決定機関である地福地域づくり協議会の存在とあわせてNPO 「ほほえみの郷トイトイ」の活動を考えると,地域運営組織として営むビジネスの特徴が現れてくる。NPO の事務局長は,山口市に合併されるまで旧阿東町役場の職員を務めていた。役場の行政職員時代には公民館に長くかかわっていたので,公民館を拠点とした人をつなぐことの大事さを感じていた。しかし,山口市に合併してからは公民館に人が集まらなくなっていた。交流拠点の「ほほえみの郷トイトイ」は,地域の人をつなぐ「私設公民館」のようなものととらえられている。拠点で行うビジネスの目的は利益ではなく,コミュニティの改善により地域住民の幸せを支えることにあるという。もしビジネスで利益が出せるような仕組みができれば,株式会社として分離することもありうるが,株式会社の利益であっても,地域貢献に回していくということが考えられる。「私設公民館」の役割は,新しい地域経営と地域づくりの仕組みをつくることであるという。ビジネスは地域課題解決のための手段であり,ビジネスを営むことが目的ではない。NPO 「ほほえみの郷トイトイ」は,活動の最終目的