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概要

kouchirouso_114_20180329

98 高知論叢 第114号を住民自治の充実においており,ビジネスの手法を取り入れることで,地域運営組織として地域経営のあり方を考えている。ビジネスに求めることは,地域運営組織として地域住民主体の活動を持続させるための財源確保である。地域ができることは地域でやり,行政にはプロの仕事をしてもらうことが大事であり,地域運営組織は自立して行政と対等に交渉していくものである。そして,NPO の活動を通じて地域ニーズを集約し,地福地域づくり協議会において地域課題の共有を行いながら,課題解決のための方法を協議することで,行政に対しても的確な提案ができるようになる。地域の暮らしを守る「小さな拠点」としての交流拠点「ほほえみの郷トイトイ」を運営するにあたっては,地域の伝統と歴史を次の世代へどのように引き継ぎいでいくかといった,時間軸の長さを意識することも必要である。諦めを希望へ変えていくことが大事で,小さなチャレンジの積み重ねが,とりあえずやってみよう,という前向きな姿勢へと地域のあり方を変えていく。第3に,行政との関係のあり方である。NPO 「ほほえみの郷トイトイ」の活動は国のすすめる地域運営組織づくりの先進事例の1つとみなされているが,地域で話し合って進めてきた活動の成果と結果に,たまたま国の政策が後付けでついてきたという感覚である。「小さな拠点」というハコだけつくってもしかたない。拠点に行けば誰かと会える,という期待感がなければ,人の足が向かない。そこで,NPO も,最初の2年は地域に必要なものだと分かってもらうことに取り組んでいたし,補助金ありきではうまくいかない。行政から補助金をもらうときには,NPO がやりたいこととかみ合ったら補助金を上手く利用するというもので,運営資金としてお金は欲しいが,補助金が自分たちの制約となったり,地域の負担になってはいけない。山口市の職員の間でも,NPO の活動に対する認識・理解のあり方は当初分かれていた状況で,地域住民が「勝手にやっている」活動であるという見方もあった。そこで,地福地域づくり協議会とNPO は一体として活動しており,住民自治の充実をはかる活動であるということを正当に認識し評価してもらう必要があった。また,行政は地域間の公平性を意識する傾向が強く,地福地区だけが突出することを嫌い,国や県からの補助金の話があっても他の地域に回