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概要

kouchirouso_114_20180329

住民による住民のためのビジネスの必要性 99してしまうということもあったようだ。行政における過度な公平性の観念が,地域づくりに制約を与えるものであってはいけない。行政との関係においては,市町村合併の影響が大きい。2010年に阿東町が編入合併して山口市の一部となり,役場は阿東総合支所に変わった。合併による一番の影響は,旧役場の行政職員が阿東地域の外に家を構えるようになってしまったことである。特に若手職員が域外にでてしまう傾向があり,旧阿東町役場には160人ほどの職員がいたことを考えると,子育て世代のマイナスが大きく,地域コミュニティの維持機能が失われる要因になっていると感じられている。また,山口市の一部になったことで,公民館が地域交流センターとなり,地域づくりの支援や社会教育および生涯学習に関する事業を受け持つことになった。しかし,地域交流センターは当初ボトルネックになってしまった。担当職員の意識の問題もあり,地域からの要望,行政からの情報の行き来ができなくなってしまったのである。必要に応じて担当課と直接交渉するようにしてきたが,近年では行政の中でも業務の整理が行われてきたように感じられている。そして,合併したことで,県庁との接点が弱くなってしまった。山口市全体でみると,阿東地域の優先順位が低くなっているため,情報が届きにくくなっている。一方,行政職員の中でも,地元出身の職員より,旧山口市内出身の職員のほうが,阿東地域にある可能性を見出すことが多いように感じられる。地元外出身の職員は,理論と実践を結びつけ,成果をあげようとする意欲が強く,挑戦的にとりくんでくれる傾向があるという。合併は総じて行政との関係においてはマイナスが多いが,これは合併したことによって起きた前向きな変化の部分かもしれないという。行政そのものということでなく,広く公的な組織という観点で見れば,社会福祉協議会の取り組みが少し弱いことが問題点である。例えばNPO の行っている移動販売事業は,高齢者の見守りなど地域福祉の側面があるので,社会福祉協議会に積極的に支援してほしいと感じているが,難しいところがある。地域のニーズを常に発信し,地域の全ての資源を活用していくことが新しい地域経営・地域づくりには求められるので,相互理解を進め,積極的につながり活