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概要

kouchirouso_114_20180329

112 高知論叢 第114号管用など)に大量の氷の生産と輸送を要請したため,この特需を契機に製氷企業(主に日本冷蔵:現ニチレイ)は急激に立ち直った5。それでは,現在の製氷企業に目を移してみよう。日本の製氷企業が採用している純氷の製法は氷缶法と呼ばれるものであり,水を入れた氷缶を製氷槽のなかに並べ,ブラインと呼ばれる塩化カルシウムの冷却作用によって氷缶の周囲から熱を吸収し,マイナス8 ~12℃のあいだで結氷させる。この際,氷缶中の水を静止状態のまま結氷させると,中心部に気泡を含んだ氷(白氷)になる。水産氷(冷却保存用)は白氷でもよいが,飲食店で利用する食用氷(陸上氷)は氷缶中に細管を入れて空気を吹き込み,水を動揺させつつ結氷させる。これは結氷の過程で純粋な水が先に凍って中心部に不純物が集まるので,そうならないよう不純物をポンプで吸い出して新しい水を入れる芯水取換作業を行い透明氷にするためである。陸上氷は48時間で結氷するが,冷媒を使用すると35時間程度に短縮することができる。なお,製氷工場で最も多く使用されている製氷缶は氷塊(一本氷あるいは原氷)の重さが135kg のものである6。図2 純氷の生産プロセス①出所: 全国氷雪販売業生活衛生同業組合連合会web サイト(http://www.icenet.or.jp/secret/secret2/)から借用。5 以上,フナヒョウ[2010]26-30頁を参照。6 以上,金融財政事情研究会編[2016]728-729頁を参照。