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概要

kouchirouso_114_20180329

氷 雪 販 売 業 者 と 氷 121施設数の推移であるが,この20年間,一貫して減少傾向にあることがわかる。1996年に3,674箇所あった営業施設は,2016年には1,642箇所となっており,20年間で営業施設数は約半数に減少している。この傾向はさきにみた製氷企業と同様であり,家庭用に製氷機能付き冷蔵庫や業務用自動製氷機が普及したことが減少の要因であろう。②氷雪販売業者が直面する課題いまみたように,氷雪販売業者は長期的に減少傾向にあり,現存する氷雪販売業者もそれぞれ経営課題を抱えている。ここでは,氷雪販売業者が直面する課題について,厚生労働省医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部生活衛生課調査係[2016]で指摘されていることを簡単に確認しておこう22。氷雪販売業者が直面する課題として,全体の84.1% が「客数・注文の減少」と回答しており,従来の顧客が何らかの要因で氷雪販売業者に引き付けられていない。それ以外では,光熱費の上昇(19.6%),燃料費の上昇(18.7%),施設・設備の老朽化(18.7%),客単価の減少(17.8%),後継者難(13.1%),資金調達難(11.2%),材料費の上昇(10.3%),立地条件の悪化(6.5%),水道費の上昇(6.5%),人手不足・求人難(4.7%),他経費の上昇(4.7%),人件費の上昇(2.8%),その他(1.9%)が挙げられている。こうした経営課題に対して,氷雪販売業者は如何なる経営方針を掲げているのであろうか。驚くべきことに,特になし(29.9%),廃業(23.4%)が上位の回答となっている。この理由は経営者が既に高齢化していることに影響を受けているかもしれない。70歳以上の経営者が43.0%を占め,60~69歳が33.6% であり,氷雪販売業者の実に76.6% が60歳以上の経営者によって経営されているのである23。したがって,彼らの世代で廃業することをすでに視野に入れ,事業を営んでいるものと推測できる。22 以下では,特段注記がない限り,厚生労働省医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部生活衛生課調査係[2016]36-40頁を参照している。なお,調査は2012年に行われている。23 厚生労働省医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部生活衛生課調査係[2016]7頁を参照。