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概要

kouchirouso_114_20180329

122 高知論叢 第114号これに加えて,84.1% の事業者が経営上の課題として挙げている客数・注文の減少は,売上げに直結する課題であるが,それに対し,経営方針が特にないというのは,課題解決のための有効な手段が決められないもどかしさを表しているのかもしれない。さて,他の経営方針もみていこう。価格の見直し(12.1%),経営の多角化(12.1%),広告・宣伝等の強化(10.3%),新商品の取扱(10.3%),接客サービスの充実(8.4%),施設・設備の改装(6.5%),氷雪販売業以外への転業(5.6%),事業の共同化・協業化(4.7%),事業規模の拡大・縮小(4.7%),新サービスの提供(3.7%),パソコン等の導入(3.7%),施設の移転(3.7%),営業時間の変更(2.8%),後継者の確保育成(2.8%),経営指導を受ける(1.9%),集客のためのイベント実施(1.9%)となっている。経営の多角化,施設・設備の改装,氷雪販売業以外への転業,事業の共同化・協業化,事業規模の拡大・縮小,後継者の確保育成,経営指導を受けるなど,積極的に取り組もうとする氷雪販売業者も少なからずいることは注目しなければならないだろう。Ⅱ 製氷企業A社の生産と販売ここからは高知市にある製氷企業A社と氷雪販売業者B社の具体的なオペレーションを紹介していく。このことは,氷が如何に生産され,そしてどのように流通しているのか,さらには,それは氷雪販売業者を介することがどんな意義を持つのかを確認することになる。それでは,製氷企業A社の事例からみていこう。1 製氷企業A社の概要24A社の創立は1928年であるが,当時は高知市ではなく,高知県西部で製氷業を開始した。戦後,高知市(旧本社工場)に製氷施設を移設し,1948年には生産能力は1日当たり15トンに拡張した。その後,冷凍倉庫を1950年,1952年,24 以下は,特段明記しない限り,A社に対して行った2014年7月16日のインタビュー調査および提供資料に基づいて記述している。