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概要

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氷 雪 販 売 業 者 と 氷 127ため,「この氷を使ってお店の売りにしてください」と申し出て販売しはじめたという。また,B社では各飲食店のスタイルに合わせて欲しいと考えているため,氷にこだわる販売先に対しては「グラスを貸してください」と依頼し,使いやすい大きさ,形を顧客とともに考え,提案している。このような活動によって,B社が価格競争や営業攻勢を仕掛けなくとも,飲食店スタッフの口コミを通じて評判が伝播している。そして,その結果,飲食店のスタッフから配送中に呼び止められたり,新店舗オープン時に問い合わせが入り,受注につながっているようである。また,B社は全国氷研究会に参加している。全国氷研究会は日本各地からの製氷企業,氷雪販売業者が集まり,より新しい,より美味しい氷を研究する団体であり,2014年10月時点で19社が会員企業として名を連ねている33。氷の新製品や機械設備,展示・イベント向けの照明器具などの情報を交換するほか,会員企業を相互訪問し研究を深めている。この他にも,B社は東京アイスアカデミーに参加するなど,氷をグレードアップしたり,新しいことにチャレンジするための予備知識を入手するため,情報収集活動に余念がない。このようにB社は活発な事業活動を展開している。さきにもみたように,B社の取り扱い製品は顧客の要望に寄り添う結果,非常に多岐にわたっている。その点を確認しておこう。2 氷雪販売業者B社の製品B社は用途,サイズ,製氷方法,内容物の違いで製品の仕様を決定している。用途には,保冷用,飲食用,プロ向け,バーテンダー向け,ブライダル向け,展示向け,イベント向け,彫刻用,その他がある(図9)。氷を加工する技量と時間を有する顧客であれば,「10」や「15」「ロック用」を注文するだろう。また,技量か時間のいずれか(または両方)を有していなければ,「氷純」33 会員名簿を参照。日本冷凍新聞社が参加しているため,製氷企業,氷雪販売業者は18社である。この研究会は同一都道府県からの参加を基本的には認めていない(東京都は品川区と調布市に立地する企業が参加している)。その理由は,同一エリアであれば利害関係が生じるためであるという。