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概要

kouchirouso_114_20180329

氷 雪 販 売 業 者 と 氷 131それでは,B社はこれほど多くの種類の氷を如何に加工し,取引先である飲食店に配送しているのだろうか35。B社のオペレーションをみることにしよう。3 氷雪販売業者B社のオペレーションここでは,D日に仕入れた氷がどのように加工され,納品されるのかといった視点でB社のオペレーションを紹介する。B社はD日午後に自社トラックで製氷企業A社へ純氷を引き取りに行く。そこで1玉を必要量仕入れて,B社に戻り冷凍庫に保管する。A社とは長期間にわたって取引しているため,信頼関係が構築できているので,A社の冷凍倉庫の鍵をB社は持っている。B社の冷凍庫の在庫がショートしそうなときは,その鍵を使って深夜でも仕入れることが可能である。翌D+1日は,D日の販売先への出荷状況,販売先からの注文情報,配送員が各販売先で現認した販売先の氷の在庫状況を勘案し,D+2日以降に出荷対象となる氷の仕様に加工していくことになる。ここで注意が必要なことがふたつある。ひとつはB社の販売先には,氷の在庫量が少なくなれば,B社が自動的に補充するような約束で納品しているケースがあるということである。つまり,取引先がB社に日々の発注をしないケースがある。もうひとつは,B社では当日加工した氷をその日のうちに販売先に納入することを極力避けている。その理由は,氷の硬さを保てないからである。氷は加工後に再度冷やす(しめる)ことで,硬い氷になり,溶けにくくなる。その結果,飲食店において,わたしたちが口にする飲み物に硬い氷が入っていれば,その飲み物は相対的に水っぽくなりにくい。こうした配慮があるため,B社は当日加工,当日配送ではなく,D+2日以降に納入することにしている。話を加工に戻そう。D+2日に必要となる仕様の氷を選び,午前9時ころから順次加工を開始する。加工が済んだ氷はすぐに仕様ごとに袋に入れて,再度冷凍庫へ移し,一晩寝かす。D+2日朝から昼頃にかけて,D+1日に販売先から受けた注文(主に留守35 本稿では,販売量が少ない店売りについては捨象する。