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概要

kouchirouso_114_20180329

132 高知論叢 第114号番電話を含む電話とFAX による),配送員の現認によって,納品すべき仕様と量のリストが整理される。それらをピックアップし,個別に袋分けして,夕方から順次配送している。取引先の納品に関する要望は主に3つに分かれる。①不在時に所定の場所に納品,②準備中に店舗に納品,③営業中に店舗に納品である。これに加え,氷が足りなくなったためすぐに納品してほしいなどの当日注文,当日配送もあり,現在では22時ころまでの注文には対応している36。以上が基本的なオペレーションであるが,B社では全国氷研究会で得た知見を活かして,オペレーションを効率化することに成功しているので,そのことも紹介しておこう。B社は研究会に参加するまで,小規模の冷凍庫(貯蔵施設)しか保有していなかった。研究会における情報交換時,他の氷雪販売業者が1台100万円する大型の冷凍庫を購入したとの情報を得た。B社ではこれまで20~30万円程度の冷凍庫を使用していたので,それほど高価で大規模な冷凍庫をどのように利用するのか,見当がつかなかった。しかし,よくよく話を聞いてみると,飲食店は曜日によって繁閑差が激しい。特にB社が取引先としているバー,クラブ,ラウンジは,忙しさにムラが出てくる。例えば,日曜日に営業している店は少なく,また営業している店でも氷の消費は普段よりは落ちる。そうであれば,日曜日に出荷する氷を加工する前日の土曜日は加工量が少なくなる。そういう関係があるのであれば,加工量が少なくなる曜日に今後必要になるだろう仕様の氷を前もって加工して繁忙日に備えることができる。しかし,その大前提はそれらの加工氷を在庫するスペースを確保することである。そこで,B社は大型冷凍庫(貯蔵施設)の導入に踏み切った。そのことによって,B社の保管スペースは,加工前の氷12玉分(1~3日分),加工氷16玉分(1~4日分)になり,効率的で平準化された加工が可能になった。そして,B社は従業員の労働時間の管理もしやすくなり,繁忙期であっても,注文に日々追われるのではなく,予め計画を立てて対応することが可能になった。36 かつては午前2時を過ぎても対応していたことがあったが,24時間営業のコンビニエンスストアが街中に出店し,純氷を販売するようになると,B社など氷雪販売業者が対応しなくてもよい環境になった。