ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

kouchirouso_114_20180329

139高知論叢(社会科学)第114号 2018年3月 判例研究除権判決と善意取得者の権利切  詰  和  雅(最高裁判所平成13年1月25日第一小法廷判決平成10年(受)第562号,約束手形金請求事件,民集55巻1号1頁)〔判決要旨〕手形について除権判決の言渡しがあったとしても,これよりも前に当該手形を善意取得した者は,当該手形に表章された手形上の権利を失わない。〔参照条文〕公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律785条(現行非訟事件手続法118条2項),手形法16条2項,同法77条1項1号〔事 実〕Y(被告,控訴人,上告人)は,平成9年2月10日に,商品代金の支払いのために本件手形をA に振り出した。A の代表者は,本件手形を裏書せずに,自宅内の金庫に保管していたところ,同年3月28日午後9時30分頃から翌日午前2時頃までの間に,何者かに同代表者宅に侵入され,本件手形を含む手形273通,A の実印,同代表者の個人印等在中のまま上記金庫を盗み去られた。A は直ちに警察へ届け出るとともに,各手形の振出人に盗難の事実を通知し,Y を含む振出人全員が支払場所である金融機関に対して事故届を提出した。手形割引等の金融業を営んでいるX(原告,被控訴人,被上告人)は,同年