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概要

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高知県における学校給食の現段階 153員会等に対してヒアリング調査を実施するとともに,県下最大の食数を誇るこうなん学校給食センターでの施設見学も行った9)。それだけでなく,県内すべての市町村教育委員会を対象に,学校給食に関するアンケート調査を実施した。このアンケート調査は,2017年5月26日より県内各市町村の教育委員会・実施組合向けに郵送で調査票を配布・回収する方式で実施した。配布対象は調査済の高知市を除く33件であり,うち25件(有効回答24件)より回答を得ることができた10)。以下では,今回の調査結果を基に,まず高知県の学校給食の全国的特徴ならびに市町村ごとの概要を把握した後,①献立・食育,②食材調達・地産地消,③財政・施設運営,④センター方式・民間委託,⑤当事者からみた課題と意義の観点から,県内学校給食の実態を多角的に検証する。全体を通して,県内学校給食の現段階をトータルに明らかにするとともに,当事者・地域にとって望ましい学校給食の方向性を提起してみたい。Ⅰ 高知県における学校給食の実施動向1.県内学校給食の全国的位置:「給食後進県」と空白地域の存在最初に,高知県の学校給食の全体動向を概観してみよう。図1は,公立小学校における学校給食(完全給食)の実施状況を示したものである。県内小学校の給食実施率は,2006~15年の間に学校数で75%から91%へ,児童数で89%から96%へと,着実に上昇しているのが分かる。これは,県9) 今回行ったヒアリング調査は,以下の通りである。高知県教育委員会スポーツ健康教育課(別役由香氏,大原佐知氏,2017年2月22日),高知市教育委員会教育環境支援課(島内裕史氏,田中茂夫氏,上田俊江氏,2017年2月16日),高知市学校給食会(佐々木正彦氏,2017年3月7日),南国市教育委員会事務局・学校教育課学校給食係(森岡俊介氏,2017年9月8日),こうなん学校給食センター(石丸博美氏,2017年6月9日)。あわせて,旧鏡村教育長の高橋和宣氏,高知市農林水産物農林水産課の島崎春次氏にも,実施当時から現在までの状況についてのヒアリングを行った(2017年3月13日)。10) このうち,1件は現在は給食業務を担当しなくなったことが判明し,有効回答数は24件になる。一方,回答が得られなかったのは,室戸,香美,馬路,田野,芸西,中土佐の各市町村ならびに,嶺西組合(本山町,土佐町,大川村の共同給食施設)である。