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概要

kouchirouso_114_20180329

高知県における学校給食の現段階 155次に,表1・2を基に,過去10年間の市町村別動向を見てみよう。これまでの傾向として,「東高西低」という特徴がまず指摘できる。例えば,小学校の場合,2006年の時点で,県東部の土佐清水市と大月町が給食未実施,黒潮町と四万十町が3割台の実施率である一方,県西部では安芸市のみが3割台であった。ただし,その後,これらの地域で改善が進み,2015年になると大月町と黒潮町,四万十町では100%実施に至っている。一方,中学校の場合,2015年時点においても,安芸市,南国市,土佐清水市では依然給食が提供されていなかった他,四万十市,室戸市,高知市,須崎市でも実施率は4割以下という低水準にとどまっていた。中学校の場合,生徒数の多い都市部の自治体で完全給食の実施が進んでいなかった様子がうかがえる。2.急ピッチで進む給食の新規導入:進むセンター化と民間委託とはいえ,これまで取り組みが不十分であった上記地域においても,直近では給食の導入に踏み切る動きが急速に見られるようになった。そこで,今回の調査結果をまとめた表3を基に,2017年時点での最新状況および各地での給食導入プロセスを再確認してみよう。まず,完全給食の開始時期を見ていくと,1950年代が5地域,60年代5地域,70年代7地域,80年代2地域,2000年代以降が4地域となっている。地域的には,高知市と南国市の小学校でいち早く導入が始まり,高度成長期に県中心部から県内各地の市町村へと給食導入が拡がっていく流れが読み取れる。ただし,中学校については,小学校に比べて実施が後回しになる傾向があり,導入方法も,高知市や須崎市の一部中学校のように,まずは小学校の給食施設から近隣の中学校へ配送する「親子方式」という形がとられるケースが見受けられる。第2に,施設の形態については,本県では大きく3つのパターンが存在する。①学校の敷地内で調理場を設置した「自校方式」,②学校外に給食センターを設置し,そこから各学校へ配送する「共同調理方式」,③上記の親子方式である。なお,他県で見られる「デリバリー方式」は,今のところ存在していない13)。13) ただし,自宅からの弁当持参と校内での弁当・パン販売の選択制は,給食提供のない学校で一部導入されている。