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概要

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高知県における学校給食の現段階 159第3に,2000年代以降の給食導入の特徴である。これには2つのパターンが存在する。その1つが,既存施設の統合化である。例えば,香南市(2014年),香美市(2014年),中土佐町(大野見地区,2016年)のように,老朽施設の更新・耐震化を背景に,旧施設の改築・統廃合へ進んだケースが挙げられる。特に,3つのセンターを統合した香南市のこうなん学校給食センターは,3000食規模という県内最大規模の施設となり,関係者の間で話題となった。もう1つは,給食空白地域での施設の新設である。例えば,黒潮町では,それまで実施されてこなかった旧大方町域で合併後に導入するという計画が持ち上がり,2013年に導入が実現した。同様に,安芸市では2016年に小・中学校8校で導入され,同じ年には四万十市中村地区でも実施に至る等,自治体内部での完全給食が次々と実現していった。また,「食育」で有名な南国市では,意外なことに中学校給食はこれまで実施されてこなかったものの,保護者の要望を受ける形で2017年12月より給食実施へのスタートを切った。さらに,これまで一部にとどまっていた高知市内の中学校や,県内唯一の給食空白地域である土佐清水市の小・中学校でも,保護者の運動に押される形で,2018年の給食導入が目指されている。このように,本県においても,給食実施が遅れていた学校・地域で実施計画が立ち上がり,給食空白状態がようやく解消されつつあるといえる。ただし,ここで留意しなければならないのは,最近の給食施設の設立・運営計画は,いずれもセンター方式と民間委託がセットの形で進められている点である。特に,2018年に予定されている高知市の中学校給食では,県内最大規模である3000食の給食センターを2カ所整備し,民間委託を通じた実施を計画していることから,大規模調理を支える食材調達や雇用形態,給食の質等,その内容が注目されている。Ⅱ 献立・食育から見た県内学校給食1.献立づくりの概要次に,子どもの食に直接関わる献立・食育の視点から,県内の給食の現状について検討しよう。