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概要

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164 高知論叢 第114号産地消率とは,給食の食材全体に占める県内産比率のことを指しているが,2015年の地産地消率は3分の1程度と,全国平均に比べれば一貫して高い水準にある。ただし,2009年のピーク時に比べて10ポイント以上下がっているのが気がかりである。その理由として,県では価格や流通事情,県内産の少ない品目の存在が影響したと推測している。とはいえ,本県の定めた地産地消率の目標値は50%であり,現状との差は大きい。その点からすれば,学校給食の地産地消をより一層推進していく政策が求められる16)。では,市町村レベルでは,どのような状況にあるのだろうか。表4は,市町村別の地産地消率を整理したものである。実は,地産地消率の算出方法にには,重量ベース,品目ベース,金額ベースと様々な取り方がある。特に重量ベースの場合はコメと牛乳の比重が大きいため,他の計算ベースに比べて高めに表れる等,計算ベースによって大きく数値が変わる点に留意が必要である。以上を踏まえて同表を見ていくと,第1に,県内産比率では高い水準にある地域が存在するのが分かる。例えば,重量ベースでは,県内産比率が8割を超える大月町と四万十市を筆頭に,9地域のうち6地域で県内産比率が5割を超えている。品目ベースでも,南国市の6割強をはじめ,宿毛市と黒潮町は半数が県内産で占められている。また,10年前と比較すると,大半の地域で上昇傾向にあり,とりわけ大月町と四万十市については,県内産比率が飛躍的に高まってきたのが目を引く。地元産の積極利用や地元業者の活用,生産者との情報交流等を通じて,地産地消に積極的に取り組んできた過程がうかがえる。一方,自治体内産比率については,県内産比率に比べて低い数値にとどまっている。その中でも,四万十市,南国市,宿毛市,黒潮町,安芸市,四万十町,日高村については,食材調達の4分の1以上が自治体産で占められている。これらの地域では,「道の駅を通じて購入」(日高村),「JA の給食部会立ち上げ」(四万十町),「センターでは園芸連を通して安芸産を使用」「自校は,地元業者と農家のつながりあり」(安芸市),「農家や業者と情報共有」「植付や収穫時期16) 高知県教育委員会スポーツ健康教育課へのヒアリングに基づく(2017年2月22日)。