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概要

kouchirouso_114_20180329

高知県における学校給食の現段階 173は保護者が負担することになっている。そこでまず,保護者の負担する1ヵ月の給食費について見ていこう。今回の調査では,小学生については,仁淀川町の3400円から東洋町と大月町の5000円まで,中学生については,仁淀川町の3400円から大月町の6000円までの幅に収まっており,県内では総じて4000円~6000円という負担額であった。また,小学生よりも中学生の方が,1割程度高くなっている。2015年時点で,全国の公立小学校の学校給食費は4301円,公立中学校4921円であり17),全国並ということができる。5年前との比較では,給食費を据え置いているのが8地域,値上げが12地域,値下げが1地域と,保護者の負担はこれまでと変わらないか,むしろ増えている様子がうかがえる。最近は,子どもの貧困の深刻化や次世代支援への対応が求められるようになっており,給食費の保護者負担の軽減がクローズアップされるようになっている。このような中,一部自治体では,給食無償化政策を打ち出すところも表れるようになっており,文部科学省も,2017年に全国調査を開始することになった18)。そこで,本県の状況について把握すべく,給食費の補助の有無をたずねたところ,給食の無償化を完全実施している自治体は,県内ではみられなかった。現在行われているのは,生活保護や就学援助を通じて,対象世帯に全額もしくは半額の補助というのが大半である。それでも,独自施策を実施している自治体も一部存在しており,大豊町では1食あたり50円の補助,仁淀川町では1食につき小学生60円・中学生90円を補助している。また,越知町では,少子化対策として,町内の小・中学校,幼稚園に兄弟が在校(園)している場合は3人目を無償にする取り組みを行っている。それでも,生活困窮世帯への支援策や少子化対策は必要不可欠な時代に入っており,義務教育における給食無償化への取り組みを,県のみならず各自治体においても,今後早急に検討していかなければならない。一方,自治体が支出する年間の給食関連予算については,640万円から3億17) 文部科学省『学校給食実施状況等調査』2016年。18「) 給食無償化,初の全国調査 実施自治体増加で文科省」『時事ドットコム』2017年9月19日付(https://www.jiji.com/jc/article?k=2017091900744,2018年1月10日閲覧)。