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概要

kouchirouso_114_20180329

176 高知論叢 第114号また,調理員の平均年齢については,表6のとおり,概ね40代以上であり,そのうち50代以上が9自治体に上った。調理労働者の高齢化が着実に進んでいるといえる。このような中,給食従事者についての課題についてたずねたところ,以下の3つの点が挙げられた。まず第1に,人手不足である。学校給食は定時大量調理で厳しい労働現場であることから,「代わりが少ない」(東洋町),「退職者の後任が見つからない」(仁淀川町),「休暇取得時の代替職員が不十分」(日高)といった切実な意見が多く出された。また,人手不足状況は正規・非正規双方に及んでおり,「正規の職員・臨時職員双方とも不足している」(いの町)中,「正職の雇用者がいないため定員に満たず,臨時職員で対応している」(佐川町)といった深刻なケースも見られる。第2に,人手不足との関連で,普段の指導体制に困難が生じている点である。特に問題となるのが,学校給食特有の厳格な衛生管理であり,その「知識が乏しい職員への指導が求められている」(大豊町)という指摘がなされた。第3に,高齢化のもたらす影響である。年齢構成比率の偏りが生じる中(南国市),特に問題視されているのが,学校給食調理の「熟練の継承」である(香南市)。若い調理員が不足するにつれ,「給食現場での熟練継承が困難」(いの町)な状況を迎えている。以上を踏まえると,現在の状況のまま推移していけば,学校給食の調理の基盤が今後は崩れるおそれも予想される。次世代を育てる学校給食という役割を踏まえ,各自治体では給食調理員の絶対数の増加,正規雇用の増員を軸とする雇用安定化,労働内容に見合った労働条件の一層改善をはじめ,担い手確保策を早急に打ち出さなければならない。Ⅴ センター化と民間委託化の動向1.県内における給食センターの普及本章では,最近の特徴である給食センターの設置と民間委託化について検討したい。