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概要

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178 高知論叢 第114号中心に8自治体で導入が進み,さらに,2000年代以降になると,センターの建設ラッシュが生じることになった。センター設置の第1の理由は,給食調理業務の合理化である。調理等の業務を一括処理できる施設の整備(日高村)が主な狙いであるが,四万十町では,広域で20校が分散しているため,旧町村単位でセンターが設置されるという方針がとられた。第2に,経費削減である。例えば,2016年の安芸市や17年の南国市,18年の高知市のように,設置に際して自校方式との運営コストの比較検討が事前になされ,低コストのセンター設置が選択されるに至っている。さらに,第3の理由として,学校の統廃合や施設老朽化に伴う建て替えが挙げられる。檮原町では中学校の統合,越知町では小・中学校の給食室の老朽化がきっかけであった。仁淀川町では,旧町村にある施設の老朽化に伴い,合併以前に近隣3町村が共同で調理場を設置する形をとった。このように,今回の調査では,計画を含めて22市町村で給食センターが設置されており,学校給食の新設・再整備がセンター方式へと流れる傾向は紛れもない事実である。では,センター化によって,どのような効果が生まれたのだろうか。第1に,センター新設によって,確実な給食提供ができるようになった点である。例えば,安芸市では,従来給食が提供されていなかった学校の子どもたちも,「等しく学校給食(昼食)を食べることができるようになった」という意見が出された。また,衛生的な施設での給食提供とともに,越知町では,スケールメリットを生かして,小・中学校だけでなく幼稚園にも給食提供が拡げられた。その他,施設合理化によって「人件費の削減になった」との意見もみられた(佐川町)。こうした効果の一方で,センター方式特有の課題も生じている。まず,自校調理とは異なり,児童や生徒の顔を見ながら調理することができず,「喫食状態が分からない」ことである(黒潮町)。また,大規模施設であるため,柔軟な対応が難しいという点も挙げられた。例えば,安芸市からは「校時変更への対応が難しい」や「アレルギー対応は除去食のみ提供で,統一した対応になる」という意見が出された。加えて,児童数の減少に伴う施設の過剰化も指摘され