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概要

kouchirouso_114_20180329

高知県における学校給食の現段階 179ている。例えば,仁淀川町からは,「設立10年で児童・生徒数が半減し,代休等で食数が少ないときの対応が難しくなっている」との声が挙がった。最後に,合理化の影響である。香南市では,野市・夜須・香我美の3つの給食センターが統合されたため,栄養教諭の配置が削減されたのが痛手であるとの指摘も出された。このように,センター化による給食運営の合理化・集約化とともに,子どもと調理現場との距離の拡大や,臨機応変できめ細かな対応の難しさ,児童・生徒数の減少に伴う施設の過剰化という課題への対応が求められている。2.民間委託の実態次に,民間委託の動きを紹介しよう。表8は,県内学校給食の外部委託状況を示したものである。同表では,アンケート調査への回答のなかった自治体を含め,県内で委託を実施している自治体を網羅的にまとめている。県内では,2000年代の初頭より香美市土佐山田町で委託が始まり,その後急速に広まっていった結果,現在では県内自治体の半数に当たる17自治体にまで民間委託が浸透している。民間委託は,自校給食とセンター給食の双方で見られるが,そのパターンは大きく2つに明確に区分することができる。まず第1のパターンが,民間給食資本委託型であり,県内では10地域・34施設(計画含む)に上る。他県同様,本県でも給食資本への外部委託が主流化しつつあり,委託期間は3~5年,選定方法はプロポーザル方式が主にとられている。と同時に,ここで注目すべきは,ごく少数の県外大手資本が受託を独占している点である。同表にあるとおり,日本国民食(香美市,安芸市,芸西村)とメフォス(四万十市,黒潮町,中土佐町,馬路村,田野町)の2社が県内では他の経済主体を圧倒しており,委託化で最も新しい南国市では,ついに学校給食業界トップの東洋食品が初上陸を果たした。これに対して,地元業者は,高知市に本社を置く高南メディカルが高知市の小学校給食を受託しているにすぎない。ちなみに,同社も,現在は東京の大手給食資本・日清医療食品の子会社である。