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概要

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184 高知論叢 第114号Ⅵ 学校給食の現場から見える課題と展望1.学校給食現場での課題学校給食の現場では,現在どのような課題を抱えているのだろうか。本章では,アンケート調査の回答結果を基に,学校給食の現場が捉える課題を整理してみよう。まず第1に,多様な子どもに適した食事の提供にまつわる課題である。その1つが,食の安心・安全である。「多様化する保護者のニーズにどこまで対応していくか,対応できるのか(アレルギーや放射能汚染,残留農薬等)」(安芸市),「食物アレルギーの増加」(香南市),「アレルギー対応食の調理を実施」(津野町)と,アレルギー対応を含む安心・安全な給食提供が最重要課題であることがうかがわれる。これに対して,「各専門分野の方々との連携・協議の場」(安芸市)や,「幼稚園・学校と連携した対応のシステム化」(香南市)への取り組みが,現場では必要とされている。また,給食の中身については,残食への対応も求められており,「児童生徒の発達段階に応じた給食の提供」(東洋町)が,現場では必要と感じられている。第2に,食材をめぐる問題である。中でも最も多かった意見が,地産地消率の向上である。これは,高知市やいの町,佐川町,仁淀川町等で第1の課題としてあげられたが,「伸び悩み」(佐川町),「需要と供給がアンバランス」(黒潮町),「地元三原産をなかなか調達できない」(三原村),「町内の個人商店等では人材も少なく,衛生監理が厳しい等の理由で断られる」(仁淀川町)といった意見のように,地元産を中心とする地産地消の向上に苦慮している様子がうかがえる。加えて,食材費の高騰にも頭を悩ませており,「給食費の値上げが必要」(四万十市),「献立の工夫」(香南市)等の対策に追われている様子である。第3に,給食運営に関する課題である。その1つが,生活困窮の拡がりに伴う給食費の滞納問題である。これについては,「児童手当による充当制度の周知等,給食費徴収率の向上」(香南市),「電話,訪問による呼びかけ」(奈半利村),「給食費の未払いについて書類通知および分納計画を確認して集金」(北