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概要

kouchirouso_114_20180329

横川和博先生インタビュー 197高裁はもっと広く経済の民主的な発展って捉えてて,色々な公益を盛り込めるようになってて。非常にリスクがあるんで通説はとらないんですけど,私は,消費者の利益とか,中小企業,弱者の権利とかっていうのも含めて考えるべきだと思ってるんで,そういうところはイギリスと同じだなと。イギリスは判断基準の公益の一項目に競争というのがある。あと,消費者の利益とか,事業者の自由とかいう色々な項目で公益判断していくんですけど,そのへんが,日本の通説はとらないところですけど,多様な公益を考える。ただ一番違うのは,英米法における公共の利益というのは,日本よりもかなり具体的であると。これも昔論文で書いたんですけど,公共の利益にも,同じ事件を考える場合でも多様な公共の利益を考えていきますんで。まず,こういう公共の利益がある。それよりも若干広い意味の公共の利益があると。それは相対する公共の利益もあるし,もっと広い意味の,もっともっと広い意味の公共の利益があるっていって,公共の利益,インタレスト(interest)が複数形なんですよね。具体的パブリックの具体的利益というふうに捉えてるんです。そのへんが公共の利益,分割もされるし,対立もするというところが面白いなと。日本はどうしても公共の利益ってかなり抽象的な概念になっちゃいますけど。だから,例えば新幹線の騒音訴訟のときに,イギリス人だったらいくつかの公共の利益の対立として捉える。新幹線を動かす公共の利益と,騒音に悩まされないで生きる人たちの公共の利益。それの対立だというふうに,もう天秤に簡単にかけちゃうんで。経済問題になるともっと複雑に,さまざまな公共の利益を。で,それが八つ,条文で公共の利益が並んでて,で,どれが当てはまるかっていうふうにやっていくんですよね。そうすると,で,条文の中の公共の利益が対立していくっていう,そのあたりが面白いですね。岡田 うーん,公共の利益が複数あって,事例ごとに調整していくって,結構大変で面倒くさそうな感じがするんですけど,イギリスの政府とか経済主体なんかはそういうかたちで運用していくっていうことをみんなよいと思って……。横川 思ってたんですよね。で,いうことですわね。だからあんな法体系を