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概要

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16 高知論叢 第114号にもかかわらず,再販価格維持を強固にする結果を生んでしまうのである。それでは,次に言及された事件を検討する。第3 節 裁判所における営業の自由(2)(a) 組合による生産および価格規制Sargant L. J. が言及したJoseph Evans & Co. v. Heathcote [1918]38の概要は次のとおりである。原告ジョセフ・エヴァンズおよび株式会社が,被告ヒースコートおよびその他組合員に対して,「プール」と呼ばれる利益金からの支払いを求めた事件で,第一審裁判所からの控訴事件 Court of Appeal (King’s Bench Division,Pickford L. J., Bankes L. J., Scrutton L. J.) である39。『原告は,「箱入りチューブ」の製造業社で,ケイスド・チューブ組合と呼ばれた事業体の構成員であったのであり,被告もまた,同事業者であったのであり,当該組合のその他の構成員すべてで組織されていた。組合の目的は,事業における価格の規制であって,その目的を推進するために,各構成員が,構成員らの総生産量を一定量に定められた割合に対して,各構成員の箱入りチューブの生産量に限定される義務を負う規則によって規定されていたのであり,現存の割合は,その数年前のその構成員の実際の生産量に基づいていた。どの月においても生産量が,各々の割当量を超過した者は,「プール」の中へそのような超過分の利益を支払うように要求していたのであり,他方,どの月においても生産量が各々の割当量未満であった者は,そのプールから一定の額を受け取る資格を与えていたのである。当該規則は,当該組合によって,その時々に定められるべき条件と価格によってのみ,構成員らの箱入りチューブを売却すべき義務を負う規定であった。一つの脱退方法もないのは,当該組合に一度でも加入してしまった者が,組合の構成員の地位を終了するのを可能にする条項がなかったからである。協定は,原告,被告,および一定の会社らの間38 Joseph Evans & Co. v. Heathcote, [1918] 1 K. B. 418. なお,“K. B.”とは,王座部 King’sBench Divisionの略である。39 [1918] 1 K. B. 418, 419.