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概要

kouchirouso_114_20180329

イギリス法独占放任の時代の営業の自由からBrexit 時代への競争法の展望 19『私見として,当該控訴は,原告のための控訴および原審の費用とともに,認容されるべきである45』。ここで詳細に触れることはできないが,要するに,当事者間で当該協定および規則が無効であることを争わなかったということではなく,原告に課された制限が不合理であるがゆえに,営業制限であり,且つ,無効である46,としている点である。ところで,最も重要なことは何であろう。それは,私人相互間の秩序に反すること,つまり public policy( 公序)に反していることは,絶対的に無効である,ということである。第三者との関係においても,当事者間の関係においても,無効である。私人相互間の間で,長い間,闘われ培われてきた秩序の原理が,社会的に法的価値を有しているということである。このことは,第2次世界大戦後における競争法の執行にかかわってくるのである。(b) 制定法への影響それでは以上検討したことが制定法にどのようにかかわってくるのかを検討する。第2 次世界大戦後,イギリス競争法制定立法の中で,再販価格維持がより強固になったのは,1956年法の制限的取引慣行法47である。その議論と影響は次のようなものである。『1956年法は,第24条で再販売価格に関する条件の共同的強制の禁止を定めていたが,その一方で第25条においては,コモン・ローの原則を大きく曲げて,契約の当事者以外にも条件を強制できるいわゆる〝第三者条項″(Non ?signerClause)を導入していた。第三者条項が認められないことが,戦前における再販実施の最大のウィークポイントであり,まさにそのことが共同再販という組織的強制の一因ともなったとされているだけに,第25条が何故規定されたか,第25条と第24条は矛盾しないか,1956年法の趣旨は何だったのかという議論をaccount stated”( [1918] 1 K. B. 418, 426).45 See, “The appeal must, in my opinion, be allowed, and judgment entered for theplaintiff s with costs here and below”( [1918] 1 K. B. 418, 428).46 [1918] 1 K. B. 418, 425.47 Restrictive Trade Practices Act 1956( 4 & 5 Elis. 2, c. 68).