ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

kouchirouso_114_20180329

22 高知論叢 第114号信頼を支えているものといえよう。第三には,取引社会の実態に眼をつぶることによる必然的な結果として,立場の非対等による契約自体の不公正性の看過があげられる』(Ib. p. 293)。このように,現代日本でも考えさせられる問題を指摘しているのである。こうして,第2 次世界大戦後の英国制定立法にかかわった各種の報告書を分析している。報告書の中でもとりわけ,公共の利益観と再販の悪質性を問題視し,様々な角度から今後も考えなければならないことを論証している。そうして,前者の公共の利益については,第Ⅳ論文などにつながっており,後者の再販については,第Ⅲ論文などにつながっているのである。なお,本稿でも,各論文を参考にさせていただいた。第3 章 Brexit 時代と競争法の展望第1 節 Brexit と競争法序論イギリスのEU 離脱,Brexit 問題で複雑な利害および情緒が存在しているようである。主流保守系を含め労働党も離脱反対であったが,保守系右派(United Kingdom Independence Party)および労働党の3 分の2 も離脱に投票した。そして,中間および底辺層の離脱への投票も高い。投票の国民意識の変化,それは,「新自由主義」に対する不信,および,自主決定の意識,並びに,エリート層への不信が原因と考えられており,これらがどのように変化,進展するかはわからないが,底辺層の現状に対する不満と不信が,政治経済にどのように影響され,あるいは,誘導されるのか53,ということもあるが,次のような法制度の問題も含んでいる。それは,競争法にも影響を与えることである。私見としていまだ推測の段階ではあるが,イギリス政府および競争当局である競争市場庁Competition andMarkets Authority(CMA)は,競争法および政策に関して,国際的にもリードするよう,指導的地位に立つためのあらゆる活動をするのではないであろうか。53 参照,二宮元ほか「対談:EU 離脱・トランプ・新自由主義の現段階」『いのりとくらし研究所報』57(特定非営利活動法人,非営利・協同総合研究所, 2017, 1, 31,)p. 2, pp.2-23。特に,二宮元氏の発言。国際的な政治学の視点から論じられている。他,宮田知佳「離脱と格差  Brexit を導いたいもの」『経済科学通信』143(基礎経済科学研究所,2017)p. 2, pp. 2-7,も参照。