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概要

kouchirouso_114_20180329

24 高知論叢 第114号以上とは異なる意見として,特段の変更,影響がないとする意見が多いこと59,および,イーストアングリア大学におけるCCP(Centre for CompetitionPolicy)のワーキングペーパーによれば,離脱後の競争政策について,『(結論として,いずれについても早急な変革は避けるべきであり,当該自由の行使を制限すべきとしている)60』,との慎重的な見解があるが,反対に,一時的に時限立法を制定したとしても,イギリス競争法および政策の優位性(確保)が,問題となり得ると考えるのである。この限りでは,伊永氏が『私の専門である独占禁止法(競争法)についていえば,Brexit の影響は甚大である61』との受け止め方と一致するであろうし,『イギリスのEU 離脱により,国際的な競争における力関係が再編成されることになる。このことはEU で多くの個別的利益を登場させることになり,むしろ,それらが促進するのは経済法や私法における対立をさらに深めることなのである62』,といったことにもつながるのである。そして,現在,EU 離脱法案が,庶民院で審議されており,議会の議案の可決の間に,修正などがされて,加えられた法案全文ができるようである63。大きな法案は,European Union(Withdrawal)Bill(2017. 7. 13)EXPLANATORYNOTES(Bill 147),European Union(Withdrawal)Bill(2017. 12. 21)[ASAMENDED IN COMMITTEE(Bill 005)がある。ここでは詳細には触れないが,後者のBill 005 を見てみる。第1 条で,1972年欧州共同体法は,離脱日に廃止する,と規定されている64。第6 条では,保有されたEU 法の解釈を規定し,第1 項から第7 項まで定めている。その第1 項では,『裁判所または審判所は,(a)離脱日以降,欧州裁判所によって,判決されたいかなる法原理でも,又は,確定されたいかなる決定でも,59 山田注54)p. 43。60 岩宮啓太「Brexit 後の英国競争政策」『公正取引』799(2017.5)p. 87。61 伊永大輔「ブレクジットをめぐる英国の法律事情」同雑誌同号,p. 1。62 バーゼドー ユルゲン([訳]アントニオス カライスコス)「ロー・ジャーナル イギリスのEU 離脱(Brexit)と私法・経済法」『法学セミナー』61(12)(日本評論社, 2016.12)p. 9。63 (2018年1 月7 日閲覧)https://services.parliament.uk/bills/2017-19/europeanunionwithdrawal/documents.html64 See, “The European Communities Act 1972 is repealed on exit day”(EuropeanUnion(Withdrawal)Bill(HC Bill 5), §1).