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概要

kouchirouso_114_20180329

30 高知論叢 第114号た切り離したとらえ方ではなくて,全体を包括し,包みこむような方向性が今後の展望として考えられるのである。おわりにさて,これまで見てきたように,独占放任の時代からBrexit の時代に至る今日,競争法の展望を最後のまとめとして述べておこう。法と経済との関係と競争に関して,財産権の変動は,権利の変動と一致することが原則であるが,現代社会では,もはやその法的枠組みによって説明できない社会体制となっている。例えば,インフレーション政策を行えば,財産権の変動が起こり,契約すら不要となっている。そして,金融の膨張である85。そこで,現代競争法が,どこまで有効に機能しているのか,あるいは,競争法に代わる代替的な担い手があるのか,あるとすれば,競争法との関係でどのように構築していくのか,今後の課題として未解決である。しかしながら,既に述べたように,あるべき方向性は,独占と支配からの解放としての自由を促進するための競争法であらねばならぬのである。それは,貧困を減少し,あるいはまた,縮小し,人々に「ゆたかさ」を提供するものでなければならない。以上。弱な消費者」と包摂の法理(下) イギリス法,EU 法からの示唆」 (現代消費者法33号(2016-12), 35号(2017-06));「 2015年イギリス消費者権利法の新体制(1)不公正な取引行為をめぐる契約法上の効果(国際消費者問題)」; 「2015年イギリス消費者権利法の新体制(2)不公正契約条項の規制及び契約への不適合における消費者の権利 (国際消費者問題)」(消費者法ニュース106号(2016-01), 107号(2016-04))。85 「マネー膨張躍らぬ経済」日本経済新聞(2017/11/14)1 面(関連7 面)。水野和夫『日本国際経済学会67回全国大会共通論題報告』三菱UFJ 証券(2008)p. 2 ; 図33「1995年以降,急増する金融資産」。