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概要

kouchirouso_114_20180329

ポスト人口転換期の条件不利地域問題 35(阿藤 2000,34頁)。また,避妊が普及したことや都市化や個人主義が広まるにつれて農村で形成された伝統的な避妊へのタブーから解放されたことも原因とされる(Notestein 1945,40-41頁)。出生率は減少しながら,死亡率の水準に徐々に近づく。やがて,両者の減少率が同じ水準になると人口の自然増加率はピークを迎えて,その後,人口は低下の一途をたどる。やがて,死亡率がボトムに達し,それを追いかけるように出生率が底を打つと局面Ⅱが終わり,新たな均衡に達する。以上が人口転換論のシナリオである(図1参照)。人口転換論はひとりの論者から始まったのではなく,戦前から始まったいくつかの分析の積み重ねの中で形づくられてきた。主な論者としては,Thompson(1929), Landry(1934), Davis(1945), Notestein(1945)らがいる(Chesnais (1992,1-3 頁)。Thompson は世界の人口構成を大きくA,B,Cの3 つに区分して議論に先鞭をつけた。すなわち,グループA はすでに死亡率が低下しており,出生率が急速に低下している国々からなる。B の国々では出生率が徐々に低下図1 人口転換と人口ボーナス注)Chesnais (1992,29頁) 及びBloom et al. ( 3,9 頁) より作成。人口転換期間人口転換の開始出生率の低下時間死亡率出生率生産年齢人口率生産年齢人口比率出生率・死亡率、自然増加率人口転換の終了局面Ⅰ 局面Ⅱ