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概要

kouchirouso_114_20180329

44 高知論叢 第114号日本の人口変動は図3に整理した。人口転換の開始時期は,安定して死亡率が低下する1920年前後である。また,終点については,転換前の人口の自然増加率が10% ~15% の間であり,この水準に復帰するのが1970年頃である。Chesnais の基準に従えば,この時期を終点と考えてよいのではないかと思われる。その間,およそ50年間である。このように,日英両国を比較した場合,人口転換に要する期間には大きな違いがある。人口ボーナスについてはどうであろうか。この点を検討したものが図4である。Bloom らによれば,人口ボーナスの始点は生産年齢人口率が増加を始める時点であり,終点はそれが減少する時点である。図4ではこの動態を表す指標として,生産年齢人口率の代わりに次の式で求めた値を用い,これを「生産年齢人口指標」と名づけた。生産年齢人口指標=生産年齢人口/ 依存人口  …(1)  なお,生産年齢人口(15歳~64歳人口),依存人口(14歳以下人口+65歳以上人口)この指標は,生産年齢人口比率が増加すれば,(1)式の分子が増加し,分母は減少するため,その動きは生産年齢人口率と同じ方向になり,人口ボーナスの代替指標となる。また,この指標が増加すれば,生産1人当たりの依存人口051015202530354018411845184918531857186118651869187318771881188518891893189719011905190919131917192119251929193319371941194519491953195719611965196919731977198119851989199319972001出生率(日本) 死亡率(日本)図3 日本における出生率と死亡率の変化注) いずれも1000人当たりの数値である。総務省統計局「人口動態」により作成。(http://www.stat.go.jp/data/chouki/02.htm 2017年3月10日閲覧)出生率・死亡率(‰)