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概要

kouchirouso_114_20180329

ポスト人口転換期の条件不利地域問題 45に対してどれだけ働ける人口(生産年齢人口)がいるかを示す指標となっており,生産年齢人口率の変化の解釈も容易である13。この指標は人口ボーナス指数とも呼ばれる。図4では,生産年齢人口指標が日本のみならずイギリスの場合にも,山形になっている期間を確認できる。このことは,いずれの国にも人口ボーナスの時期あったことを意味する。イギリスのそれは1900年代の当初に始まり,大戦間の1930年代に終了している。少なくとも,1930年代には生産年齢人口指数は2を超えており,依存人口の2倍を上回る生産年齢人口があった。この点は図1から予想された通りの結果であり,欧州といえども人口ボーナスは存在したのである。ただし,この時期は戦間期であり,しかも,その期間は10年程度に限られている。したがって,人口ボーナスとしての効果が発揮されにくい時期でもあった。同様の手順でドイツについて検証すると,ドイツの場合にも人口ボーナスは存在し,その始点は1910年以降であり,終点は大戦間の1940年頃と推定できる14。13 人口統計学で一般的な指標としては,依存人口指標や老齢化指数などの指標がある。前者は年少人口と老年人口が全人口に占める比率であり,後者は老齢人口を年少人口で除した数値である。14 ドイツの分析でもフローラ(1987)を用いた。センサスデータに基づくため,統計データが連続性を欠き,人口ボーナスの正確な始点や終点を確定することは難しい。1.01.52.02.53.03.5184118441847185018531856185918621865186818711874187718801883188618891892189518981901190419071910191319161919192219251928193119341937194019431946194919521955195819611964196719701973197619791982198519881991199419972000200320062009イギリス日本生産年齢人口指数図4 生産年齢人口指数注)出所は図2および図3と同じ