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概要

kouchirouso_114_20180329

52 高知論叢 第114号東アジアのほとんどがそれに含まれる(図8参照)18。また,この地域の人口密度を欧州他と比較したものが図9である。この図は,横軸に第1次産業の就業人口1人当たりの耕作地面積(ha)の対数,縦軸に年間降雨量(㎜)をとって国別のデータをプットしたものである19。図9からは,年間降雨量が高まると1人当たりの耕作地面積が低下する傾向を読み取ることができる。降雨量と単位当たり面積の生産量が逆に相関しており,降雨量が高いときには小さな農地で生活ができることを伺わせる。また,国別の分布をみると,モンスーンアジアとそれ以外の地域の国々が明瞭に分かれている点18 なお,モンスーン地域の定義は様々に行われおり,クロモフの定義はその一つである。クロモフを踏襲しながら,Ramage(1971)は季節風の風力を要素に取り込んだより厳密なモンスーン地域の分布を提示している。この定義では北海道及び東日本の一部,さらには韓国の全域がモンスーン地域から外れる。本章では,やや広義のクロモフの定義によった。19 オーシマ(1989)は,可住面積に当たりの人口が実際的な人口密度であると指摘する。ここでは,稠密な人口の様子を表すために一人当たりの国土面積ではなく,耕作面積を採用して実質的な人口密度の指標とした。図8 クロモフによるモンスーンア地域の分布注)Ramage(1971)より作成