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概要

kouchirouso_114_20180329

ポスト人口転換期の条件不利地域問題 53が注目される。モンスーンアジアの国々は,高い降雨量と人口密度において共通性を有している。 こうした特質をもつモンスーンアジア地域が,大きな人口オーナスに遭遇すれば,稠密な人口を前提に組み立てられた農村の地域社会は再構築の時間もなく崩壊する危機に直面しかねない。人口が稠密だけに,その数が激減したときには,地域資源などの権利や地域社会における役割の再配置や調整に多くの手間と費用がかかる。しかし,他方では,経済成長と停滞の変化が急なため,これを再構築するための時間は短く,人口オーナス期にはそのための予算の確保も容易ではない。社会システムの再構築を担うべき年齢層が後継者を見いだせないまま,その人口が減少すれば地域社会は継続できなくなる可能性が高まる。3.条件不利地域問題の東アジア的諸相以上のように,北東アジアの条件不利地域が直面する人口オーナス問題は,国家レベル以上に深刻でしかもその現れ方は欧州のそれとは大きく異なること図9 農林水産業就業人口1人当たりの耕地面積(対数表示)注) 経済活動人口(農業)及び耕地面積(arable land)はFAOSTATによる。また,年間降水量はFAO,aquastatによる.