ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

kouchirouso_114_20180329

66 高知論叢 第114号システムというのは,納入された製品のうち使用した分だけの代金を使用した時点で支払うといものである。使用しなかった製品については,最後に不当返品の問題が生ずる。③ 不当減額下請業者の責に帰さない理由での減額の態様は様々である。提供した原材料で使用しなかった分を引き取らないで,その分を減額するなど。④ 不当返品不当返品の態様も様々である。問題になったのは,競争会社に新商品(車ならばモデルチェンジ)を知られたくないために,ダミーの部品を発注して返品する等。⑤ 不当に低い下請代金の決定(買いたたき)下請代金を親事業者と対等に交渉して決められるという下請業者は極めて少ない。⑥ 不当な指定商品の購入強制かつて自動車会社の工場には「当社の製品以外の車両の入構をお断りします」と入口に掲示してある企業があった。時計会社と取引するときには「時計を着替える」,化粧品会社と取引するときには化粧を塗り替える,ビール会社との取引ではその会社のビールを飲む,といった習慣も同様。⑦ 不当な報復的行為下請法違反があった場合,被害を受けた下請業者の通報によって公正取引委員会が動く場合がある。しかしながら,多くの場合かかる下請業者は業務の継続は困難となる。そのため,下請業者の通報によって規制が行われる場合は極めて少ない。公正取引委員会も下請業者が特定できないよう最大限の注意を払っているようである。以上が,下請代金支払遅延等防止法の概要である。一定規模以上の製造業者が,当然のこととして下請企業を利用していること,いいかえれば,日本の大規模製造業者の外製率の高さは,我が国製造業の大きな特徴となっているのであるが,それでは,何故,大企業は下請企業を利用するのであろう。