ブックタイトルkouchirouso_114_20180329
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kouchirouso_114_20180329
我が国における中小企業法に関する一小論 77問題でしかない。この意味で,中小企業の問題は,大企業の本拠となる大都市との関わりの問題であった。いわゆる「企業城下町」の問題は,地方・地域の問題であるが,これも大企業との関わりの問題である。このように,地方における一定の地域における中小企業の役割や位置づけという課題は,皆無とは言えないが,重要視されてこなかったことは事実であろう。前章で見てきた中小企業法制史は,まさにそのようなものであった。しかしながら,高度経済成長から低成長期に向かい,地域社会と中小企業という視点が重要視されてくる。第一に,大店法問題と地域商店街の問題である。第二に,地域振興と地域中小企業との関係である。第三に,前の二点を論じるときに,商工会議所・商工会という経済団体の存在が重要な意味を有してくる。(1)大店法と地域商店街大店法(大規模小売店鋪における小売業の事業活動の調整に関する法律,昭和48年)は,百貨店の出店に関わる法律であった「百貨店法」に代わる法律として制定された。百貨店が出店する地域は限られて来るが,大型店の出店となると多くの地域に関わる問題となる。法的論点としても,地域住民の生存権,地域住民の平等権,消費生活物資に関わる中小企業の「生業権」など様々な課題が整理されずに論じられた。法の内容を見てみよう。法の定める手続きの流れは以下のようになる。① 大規模小売店鋪の届け出② 同店舗における小売業者の届け出③ 届け出にかかる事業活動の通産大臣による審査④ 要件を充たした場合における通産大臣による変更勧告問題は,その課程で「地元事業者と利益と当該事業活動との調整」を必須なものとし,そのために商工会議所,商工会という市町村単位に設置される「商業活動調整協議会」(商調協)の意見を聞くことが義務づけされた。結果として,