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概要

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81高知論叢(社会科学)第114号 2018年3月 論 説住民による住民のためのビジネスの必要性   NPO 「ほほえみの郷トイトイ」の活動から考える   霜  田  博  史水  谷  利  亮はじめに中山間地域の住民の生活を支える仕組みづくりとして,「小さな拠点」の整備と地域運営組織の形成が,国のすすめる「地方創生」政策の目標として掲げられている。「小さな拠点」と地域運営組織に期待されていることは,地域で暮らしていけるように生活サービスの維持,確保をはかることと,地域における仕事,収入の確保をはかることの2点である。国をはじめ自治体などから支援を受け,住民主体の活動組織である地域運営組織を立ち上げることができたとしても,多くの組織が直面する課題が運営資金の確保である。国や自治体の補助金は恒久的に保証されるわけではないため,安定的な運営資金を確保するために,様々な経済事業を展開していくことが求められている。地域運営組織の経済事業は,利益を目的とするよりは,ビジネスの手法を通じて地域の課題の解決に貢献することが期待される。ビジネスを通じた地域課題解決は,ソーシャルビジネス,コミュニティビジネスとして注目される機会が増えてきた。しかし,合意形成を重視する地縁型組織と,スピード感を必要とするビジネスを営む組織の双方にかかわる地域運営組織は,ともすると2つの組織部分の緊張関係を招く場合もある。