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概要

kouchirouso_114_20180329

住民による住民のためのビジネスの必要性 83落生活圏」を維持することが重要であり,将来にわたって地域住民が暮らし続けることができるよう,地域住民が主体となって,地域の生活や仕事を支えるための住民主体の取組体制づくりや利便性の高い地域づくり(「小さな拠点」の形成(集落生活圏の維持))を推進する,とされている。小田切徳美によれば,農山村を中心に構想されている,集落生活圏を守る「小さな拠点」には2つの側面があるという2。1つは地理的空間における拠点として,中心集落における生活サービスをしっかりと維持するという側面であり,もう1つは広域的にコミュニティを束ねるという側面である。後者の広域的なコミュニティの拠点として,地域運営組織が位置づけられるということである。地域運営組織とは,「総合戦略」によれば,「持続可能な地域をつくるため,『地域デザイン』に基づき,地域住民自らが主体となって,地域住民や地元事業体の話し合いの下,それぞれの役割分担を明確にしながら,生活サービスの提供や域外からの収入確保などの地域課題の解決に向けた事業等について,多機能型の取組を持続的に行うための組織」とされている3。また,総務省の調査によれば,地域運営組織を機能からみると,「地域課題を共有」し,「解決方法を検討」するための「協議機能」と,「地域課題解決に向けた取組を実践」するための「実行機能」を有する組織と位置付けられるとしている4。そして,地域運営組織の組織形態としては,協議機能と実行機能を同一の組織が合わせ持つもの(一体型)や,協議機能を持つ組織から実行機能を切り離して別組織を形成しつつ,相互に連携しているもの(分離型)など,地域の実情に応じて様々なものがある,ということである。地域運営組織の組織形態は多様であるが,共通して期待されていることは,地域で暮らしていけるように生活サービスの維持,確保をはかることと,地域における仕事・収入の確保の2点であるという5。総務省はじめ国の問題意識として,地方での生活支援サービス需要の増加とサービス提供機能の低下とい2 小田切(2017),pp. 14-15。3 「まち・ひと・しごと創生総合戦略2017改訂版」,p. 97。4 総務省地域力創造グループ地域振興室(2016),p. 3。5 地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議(2016),p. 4。