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概要

kouchirouso_114_20180329

92 高知論叢 第114号るくらいにはしたいという。NPO の事業として,収益を上げることのできるものはミニスーパーと移動販売の2つであるが,組織を持続させるためには利益を出していかなければならないのが大変である。そこで,地域課題に応える形での新しいビジネスチャンスを常に探している。例えば,交流拠点では飲食ができる許可をとっているので,交流スペースで居酒屋を開くことも考えている。また,山口県立大学の学生に声をかけて,2018年から土曜日にカラオケ喫茶の営業を始める予定である。その他の事業の展望としては,空き家の管理,廃校になった小学校の跡地にシェアオフィスを誘致することなどを考えている。特に30代女性に子育て環境のよさをアピールできないかということがある。阿東地域の中学校は地域とのかかわりも強く,完全な移住でなくてもよいので,生活コストを抑えることで高校以上の進学に備えてはどうだろうか,という提案をしていきたいと考えている。将来的な関係人口が増えていくことで,また地域に戻ってきてくれる子どもが出てくるかもしれないからである。組織体制についてみると,NPO は地域の意思実現機関,実動部隊として位置づけられている。一方で,地域の意思決定機関としては地福地域づくり協議会があり,事務局が意思実現機関と意思決定機関をつなぐというイメージの組織体制になっている(図1)。地域の課題を考え,意思決定する組織としての地福地域づくり協議会は,地域内の各団体の代表で構成されている。実動部隊としてのNPO は,個人や団体が自分の意思で参加し,事業主体としてスピード感を持って事業に取り組む組織である。現在のところ2つの組織の事務局長を同一人物が兼任することで,組織を結びつける工夫をしている。また,現時点では2つの組織の会長は交代しているが,実動部隊の組織を立ち上げた当初は,地福地域づくり協議会の会長および副会長が,実動部隊の母体となったほほえみの郷運営協議会の組織の副会長と会長を兼ねるというクロス人事を行うことで,2つの組織の協働関係を担保していた。NPO による交流拠点「ほほえみの郷トイトイ」の運営は,現在総勢10名で行っている。事務局長1名,常勤の事務局長補佐1名,裏方仕事をこなすスタッ