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教員の著作等

<関 良子

  1. 「テニスンの『国王牧歌』に見られるダーウィニズムの影」
    • 玉井暲教授退職記念論文集刊行会 編『英米文学の可能性―玉井暲教授退職記念論文集―』(2010年、英宝社)所収

    • アルフレッド・テニスンの『聖杯、およびその他の詩』(1869年) として発表された『国王牧歌』第2巻と、同作家の『イン・メモリアム』(1850年) を比較し、さらに『国王牧歌』初版と同年にチャールズ・ダーウィンの『種の起原』(1859年) が出版された事実に注目した上で、ダーウィニズムの衝撃がテニスンの詩作に及ぼした影響を明らかにした。

  2. 「ヴィクトリアン・ソネットにみる不老の喪失―『生の館』の曖昧さが意味するもの―」
    • 橘幸子、森本道孝、市橋孝道、関良子、服部典之 著『〈アンチ〉エイジングと英米文学』(2013年、英宝社)所収

    • 英米文学におけるエイジングとアンチエイジングの表象を通史的に概観する本著の中で、ソネットという詩形式が、シェイクスピア以来、「永遠の美を詩の中にとどめる」という意味でのアンチエイジングの特質を具えていたにもかかわらず、ヴィクトリア朝時代に復興されたソネットではアンチエイジング効果を喪失している点を明らかにした。

  3. 「『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』におけるアナクロニズム—ジャンル横断的/大西洋横断的ロマンス受容—」
    • 石田久、服部典之 編『移動する英米文学』(2013年、英宝社)所収

    • 英米文学における〈移動〉の問題を様々な角度から考察した本著の中で、アメリカの小説、マーク・トウェインの『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』(1889年) に19世紀イギリス文化に対する批評、特にマシュー・アーノルドの文化論に対する批判が多分に含まれている点を、トウェインの作品制作過程と、彼の関心の変遷に注目しながら指摘した。

  4. The Rhetoric of Retelling Old Romances: Medievalist Poetry by Alfred Tennyson and William Morris
    • 2015年、Eihosha

    • テニスンとモリスによる中世主義的な詩作品を分析することで、19世紀イギリスで隆盛した中世主義が自明の事象ではなく、同時代の時代風潮を重んじる世論とのせめぎあいの中に成立していたことを論証した。そして両詩人が中世への憧れと当時の批評家らによる詩論との間で生じる葛藤をいかに克服し、中世ロマンス再話のレトリックを獲得したかを通時的かつ共時的に分析した。