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青年海外協力隊 in インドネシア ~ 夢のつづき

竹 内 智 央(2004年3月卒業)

夢のあとで

小学生の頃、JICAの青年海外協力隊員として発展途上国でボランティア活動をする日本人看護師のことが書かれた文章を読みました。
遠い親戚に、ネパールで長い間支援活動をしている人もいて、当時から私は海外ボランティアに漠然と興味を抱いていました。
漠然と興味を抱いていただけ、です。

中学校3年生の時、私立高校の英語コースを受験しました。
外国人教師との英語面接で将来の夢を聞かれたとき、
「発展途上国でたくさんの人を救います。」 と答えました。
そう、言っただけ、なのです。

大学に入り、協力隊員募集の文字に目がよく行きました。「国際」とか「海外」とか「ボランティア」とかがいつも気になってました。
そうして時間は過ぎていきました。

私は高校、大学院と北欧フィンランドに2度留学し、語学学校に就職し、2歳から70歳近い生徒さんに英会話を教えました。
先生、先生と言われ、常に語学を教える側、海外の話をする側、海外に生徒たちを送り出す側でした。ぐんぐんと語学力が伸びる生徒、資格試験に挑戦し続ける生徒を目の当たりにする中で、小学生の時のあの漠然とした気持ちが、はっきりとした決意となって蘇って来たのです。

そして今、私は小学生のころの記憶の中の女性と同じように、まさしくJICAの青年海外協力隊員となり、インドネシアでボランティア活動に携わっているのです。

「ノンフォーマル教育」の必要性

今、私が活動している場所は、インドネシアのスラウェシ島ゴワ県、2008年6月からここにいます。
配属先は県教育局学校外教育課所属の「学習活動センター」で、ノンフォーマル教育プログラムの運営に携わっています。

ノンフォーマル教育は格差を埋める大切な存在であり、昼間働かざるを得ない子供や、幼い弟・妹の世話をしなくてはいけない子供、学習障害がある子供、学校をドロップアウトした子供、また、子供の頃、そういった理由で学校に通えなかった成人のために、無料の学習機会を与えるものです。
県のノンフォーマル教育プログラムの種類は、幼稚園レベルから小・中・高レベルの同等教育、機能的識字、職業訓練等、多岐に渡ります。

環境問題と人材育成

私は今、こういった多くのノンフォーマル教育施設を巡回し、改善点を探し、同時に週に一度、ノンフォーマルの幼稚園施設講師に向けて、環境に配慮した「モノ作り」の指導を行っています。エコノミカル且つエコロジカルなこの「モノ作り」が定着すれば、子供たちの想像力・創造力は増し、ニーズである「将来の人材育成」ばかりでなく環境保全にも貢献できます。
ありがたいことに、一番最近の講座には話を聞きつけた県外からの参加者もいました。

今後は、中・高レベルのノンフォーマルの同等教育の英語講師に英会話の特訓を行い、講師のモチベーションを高めると同時に、より質の高い教育をノンフォーマル教育に取り入れられるよう努めます。
また、モデルとなる小学校レベルのノンフォーマル教育施設での週に1、2度の勤務を通して施設マネージメントの改善をスタッフと共に図っていきます。
地域住民への日本語クラスも強い要望があるため開設予定であり、同時に教材も作成出来ればと考えています。ネイチャーゲームや「モノ作り」活動・絵画などの情操教育を通して就学率の低いモデル集落の子供たちの学習意欲を高める活動も行っていく計画があります。

夢のつづき

途上国支援の策の一つとして、一村一品運動というものがあります。

こちらに赴任してすぐ、専門家の方のお話を聞く機会があったのですが、その方が高知県の馬路村がゆずで非常に豊かになったことを例に挙げお話をされていました。実際に馬路村にも研究で足を運ばれていたそうで、馬路村のアイディアをこちらの人々にも伝えていきたいとおっしゃっていました。

インドネシアのこの島で思いもよらず馬路村の話を聞いた私は、高知での大学生活を振り返る時間をもらいました。そして様々なものの目に見えぬ繋がりに心を打たれました。
私は文化の勉強をしていた大学時代から、社会学、語学教育と興味が広がり、海外ボランティア、ノンフォーマル教育、そして今、環境教育にも強い関心を持ち始めたところです。
そしてこれらすべては繋がっており、この繋がりはきっと取り留めもなく続いていることでしょう。

インドネシアでの2年間でどこまでいけるのか、私は楽しみで仕方ありません。

(2008年11月)