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キャンパス桜

ご入学、おめでとうございます。

2016年4月4日

「皆さん、おはようございます。
それから、ご入学、本当におめでとうございます。

皆さんは、高知大学人文社会科学部国際社会コースの栄えある第1期生になります。この度入学されたことを、国際社会コースのスタッフ一同、心より歓迎いたします。

「学びの自己決定」


2016学科長挨拶 さて、ここにおられる新入生の中には、この国際社会コースが第一志望の人が、もちろん多くいらっしゃることと思います。そのような方は、このコースに入学できて、本当によかったと思います。一方、第一志望ではなかったという人も、中にはいるかもしれません。ですが、大学では、そのような入学前のこだわりは、もはや意味がなくなってしまいます。

大学生活で一番大事なことは何か。

それは、「学びの自己決定」です。これは、「自学自習」と言い換えることもできます。少し固い言葉ですが、どういう意味かというと、大学生活でまずやらなけらばならないことは、授業の選択です。高校までの決められた授業スケジュールをこなすだけではなく、たくさんある授業の中から、どのような授業を選ぶかを自分自身で決める必要があります。また、授業中では、教員が懇切丁寧に指示を出すことはありませんので、話の中から重要なポイントを自分で選び取り、適切にメモする必要があります。さらに、教室にただ出席してそれで完結するというわけではなく、授業で聞いた話を出発点に、自分で本を読んで思考を深めたり、友達と一緒に議論したり、地域あるいは海外に飛び出して活動することなども必要になってきます。

つまり、大学では、学生自らが学びの主体となって自由に計画を立て、「自分がおもしろい!」と思うことをとことん追求し、そうして得られた自分の考えや体験を他者に伝え、お互い交流していくという日々を過ごすといった生活を送ることになります。そうした大学生活での重要な心構えが、「学びの自己決定」ということになります。

「魚に泳ぎ方を教える」

こうお話しすると、皆さんは多少不安に思うかもしれません。
「自分は放ったらかしにされるのでは?」「先生の役割って何なの?」と疑問に思うかもしれません。

では、大学あるいは先生は、一体何をする存在なのでしょうか。

 一言で言えば、「魚に泳ぎ方を教える」のが、教員の役割だと思っています。
これは、経済学者・(故)宇沢弘文のエッセーから引いてきた言葉です(宇沢弘文『経済学は人びとを幸福にできるか』東洋経済新報社、2013年)。「魚には泳ぎ方を教える」必要など、本当はありません。魚は、もうすでに十分泳ぐことができる存在なのですからね。ですから、必要なのは、きれいな水と豊かな緑。そうした環境さえ用意すれば、魚は本来自分が持っている能力を十分発揮できる。これが、「魚に泳ぎ方を教える」という意味です。
例えば、皆さんにとって英語力は、国際社会コースに入学できるくらい、すぐれた能力をお持ちのはずです。また、英語だけでなく、語学への興味から、他のいろんな言語を学びたいと思う人もたくさんいるでしょう。さらに、言語だけでなく、東南アジアやヨーロッパに実際出かけて、その土地に根ざした個性的な文化や社会を直に体験してみたいという意欲を持っている人もいるでしょう。
ですから、私たちスタッフは、学生自身がすでに備えている潜在力を思う存分発揮できるように、しっかりとした環境を整える必要があると考えています。

新入生の皆さんは、すでに「泳ぐ」ことのできる力を十分備えています。したがって、皆さんの潜在能力をしっかり発揮できるように、まさに「きれいな水」と「緑豊かな環境」をしっかり用意することが、国際社会コースのスタッフの役割だと思っています。この後、教務委員の先生方より、このオリエンテーションを通じて、大学での「泳ぎ方」を、くわしく教えていただけると思います。ぜひ今日の話を参考にしながら、これからの有意義な4年間の出発点にしてください。

ぜひ「おもろいこと」を

最後にもう一言。

ぜひ「おもろいこと」を、見つけてください。

私自身が関西出身なので「おもろい」という表現を用いていますが、これから4年間過ごしていく高知大学でしかできない経験、高知大学の国際社会コースに来て良かったと思えるような、充実した4年間を過ごせるように。

皆さんの今後の飛躍を、心より期待しています。」