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北京オリンピック in 高知

T. A. (2005年入学 4年生)

「オリンピックでの目標は?」

高知県で、しかも世界トップレベルの選手にインタビューをする日が来るなんて、私は夢にも思っていませんでした。
2007年はIAAF世界陸上大阪大会、2008年の今年は北京オリンピックへ向け、主にオーストラリア、ポーランド、スロバキアの陸上選手団が高知県で事前合宿を行っていました。その期間中、私は通訳ボランティアとして関わることができたのです。
通訳の主な内容は、
  1. 選手からの要求を高知県の職員へ伝える
  2. 報道関係者からの質問を選手に通訳し、その答えを報道関係者に訳しなおす
というものです。
今考えると、通訳の経験や陸上競技の知識があった訳でもないのに、ボランティア参加を決めたことは少し無謀だったかもしれませんが、そこで経験した事は、その全てがとても刺激的でした。

「アナタノ コトガ イチバン スキデス」

私はポーランド、スロバキア選手団を担当しました。
私と同じように英語を母語としない選手が多く、更には英語をほとんど話せない選手たちもいたため、初めのうちは上手く伝える事も出来ず、モヤモヤしたものが残っていました。自分の英語が伝わっているのか、また、選手たちの言っていることをきちんと訳せているのか・・・不安はあったものの、やるしかなかったのです。
練習中はピリピリした雰囲気でしたが、日が経つにつれ、練習前・練習後にコミュニケーションを取ってくれる選手たちが増えていきました。

「アナタノ コトガ 一番 スキデス。」

なんて言う選手が現れたり。

「アイスバス用の入れ物(アイシング用の氷水を溜める大きな入れ物)が欲しいんだけど」というチーム専属のドクターと一緒にホームセンターに行ったり、「この辺りでカメラが買えるお店はない?」というカメラ好きの選手に、電気屋さんの場所を説明したり、競技以外のことでも通訳(と言えるのかどうか)を経験しました。

そして、今年が2度目の来高となったポーランド走り高跳びのモニカ・ピレク選手は、「今年(オリンピックへの調整)は順調よ。2度目だから、高知にも慣れたしね。」とも話してくれました。

1~2週間という短い間、毎日近くにいた選手たちがテレビの中で競技をしているのを見て初めて、自分が凄い人達と過していた、と実感したのです。そして気が付けば、日本選手ではなく、ポーランド・スロバキア選手を応援していました。 きちんと通訳として役目を果たせたのかどうか、まだ不安もありますが、このような貴重な体験が出来た事は、この大学へ入学し高知で4年間を過したことに少なくともプラスになっていると思います。

彼らは、「これから先、日本もしくは周辺の国で大会なんかがあるときには、また是非高知に来たい。」と言ってくれています。その時は、また是非彼らと会いたいし、そして他の大学生の皆さんにも、貴重な体験をしてもらえたらと思っています。

(2008年10月)


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