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2023.02.16
人文社会科学専攻の大学院生が「日本語学会大会発表賞」を受賞しました

 

人文社会科学専攻1年の小原真佳(おはら・まなか)さんが、2022年度日本語学会秋季大会発表賞を受賞しました。本賞は、日本語を中心とする言語の研究を行う「日本語学会」の研究大会において行われた研究発表の中で、特に優れたものを顕彰する賞です。
小原さんは、2022年10月29, 30日に行われた日本語学会2022年度秋季大会において「語順変更から見た中世のゾの係り結び」という発表を行い、上記の賞を受賞しました。本学会で修士課程の学生が研究発表を行うことは多くなく、その中において本賞を受賞したことは、大変稀有なことです。

以下、小原さんによる、研究内容の紹介です。

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古代の日本語には、「鶯の鳴く野辺ごとにきて見ればうつろふ花に風吹きける」(古今和歌集・105)のように、文中に「ぞ」のような係助詞があるとき、文末が通常の「けり」(終止形)とは異なる「ける」のような形(連体形)になる、「係り結び」という現象があります。
先行研究では、奈良時代~平安時代の「ぞ」による係り結びには、「ぞ」のつく要素を述部の前へ動かし、通常とは異なる語順にするという語順の変更が多く見られることが指摘されてきました。例えば、先述した古今和歌集の例は、通常の語順では「、うつろふ花に吹きけり」となりますが、強調したい「風」の要素に「ぞ」を付加し、述部である「吹きけり」の前に移動させたことによって、「うつろふ花に風ぞ吹きける」という文になっていると解釈できます。
一方で、院政期以降にはそのような例が減少し、「少将モ毎度ニハラ〳〵ト泣(なき)給(たまひ)ケル。」(平家物語・巻1末)のように、語順の変更を行わず、単に述部の前に「ぞ」を生起させた文が多くなります。この平家物語の1文は、通常の語順である「少将も毎度にはらはらと泣給けり。」から、述部「泣給けり」の前に係助詞「ぞ」を生起させてできたと考えられる例です。

 

 

 

 

 本発表では上記の変化に注目し、通常の語順でどこに現れる要素に「ぞ」がついているか、また、「ぞ」が述部の直前に生起するかという2つの観点からの分析を通して、院政期以降、特に鎌倉時代に、「ぞ」の係り結びの語順変更が行われなくなっていくことを指摘しました。さらに、この変化が、「ぞ」の係り結びが本来有していた、文中のある部分を他よりも目立たせるという「焦点化」の機能が、時代が下るにつれて弱まっていくことと関連している可能性についても主張しました。
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リンク(授賞のページ):
https://www.jpling.gr.jp/kaiin/gakkaisyo/happyosyo/#happyosyo2022b

 

 

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