2026年7月22日(水)、講演会「フランスの植民地支配に抗する—独立を掲げたアルジェリア民衆の闘争と革命」を開催しました。はじめに渡邊祥子氏(東京大学東洋文化研究所)より、イントロダクションとして、アルジェリアの独立を掲げた運動が展開された歴史的背景を「北アフリカの星(ENA)」から「民族解放戦線(FLN)」の設立に至るまで、それらの特徴と絡めて解説いただきました。
続いて、講師のムハンマド=サーラフ・ブークシュール氏より、アルジェリアの植民地化とその抵抗の歴史について、経済史を専門とする立場からご講演いただきました。同氏は、アルジェリアの植民地化はアルジェリア人とヨーロッパ人の徹底的な分断化により進められたことがその特徴であるとしたうえで、その例として1905年から1914年にかけての登録婚姻数32万件のうち混合婚はわずか82件であることや、裁判を経ずにアルジェリア人を裁くことができた「原住民法」の問題が挙げられました。そのうえで、第1次世界大戦時に対独戦争や軍需工場に動員させられたアルジェリア人を中心に、そうした明確な差別と分断を前提とした植民地的状況が自覚されるようになり独立を志向する思想が生じ、フランス共産党やモロッコ、チュニジアなど外部勢力の支援も受けながら軍事的な闘争に発展した経緯を説明いただきました。
サーラフ・ブークシュール氏は、こうした不平等な植民地支配からの独立を求める対仏闘争を展開するなかで、フランス在住のアルジェリア人労働者やアルジェリア在住のフランス人、ユダヤ系アルジェリア人など異なるバックグラウンドとアイデンティティを有する個人ないし団体が果たした貢献についても詳細に解説してくださいました。また、アルジェリア独立後、ヨーロッパ人らが所有していた土地や財産をめぐる権限など、植民地時代の遺産をめぐっては今日の土地分配や産業振興に引き継がれた課題であることも示されました。
本講演会の参加者からは、土地の所有にかかる問題や、現在の経済不安、アルジェリア独立国としての国史認識について質問が寄せられるなど、活発な議論が交わされました。
