
【国際社会コース】 言語・コミュニケーションプログラム
今井 典子(いまい のりこ)
第二言語習得論、言語教育
第二言語習得論(Second Language Acquisition: SLA)は、母語(第一言語)とは異なる言語をどのように習得するかを研究する学問です。この分野では、学習者の年齢、学習環境、認知的要因や社会的要因が習得過程に与える影響が研究されています。私自身、最近はインプットの質と量、頻度(input flood)とその役割、明示的・暗示的フィードバックの効果、アウトプットに関してはFocused Taskを理論的根拠とした「課題解決型言語活動」の研究に取り組んでいます。また、インプットとアウトプットという異なる言語処理を組み合わせた教授法の効果も検証しており、これまでにinput flood +課題解決型言語活動、そしてdictoglossの効果についても研究を行ってきました。特にInstructed SLA(ISLA)の視点から、理論と実践の統合を目指した研究に焦点を当てています。
・英語句動詞学習の意義―中学校検定教科書の比較・分析―
・多様な学習スタイルを理解した学習環境の構築
―MBTI性格診断を用いて―
・言語学習において色に対する概念の違いを学ぶ意義
―色を用いたイディオムと色に対する概念の日英比較―
・日本語を母語とする英語学習者のための英語現在完了形の効果的
な習得方法―グラウンディングを意識した学習の提案―
・学校教育現場のメンタルへルス対応の意義
―心理的安全性のある児童生徒理解を目指して―
・高校学校外国語教育におけるAIによるスキャフォールディングを活用した反転授業―問題解決型タスクを用いたアウトプットの促進―
・カタカナ語が増加する中での外来語教育の在り方
―日本語力と英語力を共に伸ばすために―
ゼミナールの学生と海外の大学間協定校の学生をオンラインで結び、少人数形式の協働学習を行う「COIL(Collaborative Online International Learning)型教育」を、これまで毎年2大学と実施してきました。COILとは、国内にいながら海外大学の学生と協働学習を可能にするオンラインツールを活用した国際的な双方向型教育のことです。これまで、中国文化大学(Chinese Culture University, 台湾台北市)とは第二言語習得論やTESOLなどの専門分野をテーマに2015年度より2022 年度まで実施していました。また、東海大学(Tunghai University, 台湾台中市)とは文化やSDGsをテーマに2019年度より実施し、両大学ともより良い方法や形態へと改良を重ねながら継続的に実践してきています。2023年度からは中国文化大学に代わり、ブラビジャヤ大学(University of Brawijaya, インドネシア共和国)との交流を開始しています。