教員紹介
Faculty Members

 

【社会科学コース】 経済理論プログラム

新保 輝幸(しんぼ てるゆき)

 

専門

環境経済学

大学時代は農林経済学を学びましたが、大学院で専門の研究を行う内に当時注目されていた「農業と環境」というテーマに取り組み、環境の経済評価の研究などを行うようになりました。高知に来てからは地の利を活かし大月町の柏島などでサンゴの海の保全などの研究にも携わるようになりました。2004年に大学院黒潮圏海洋科学研究科設立に参画した際、今の自分に求められている研究は何かと考え、劣化しつつある黒潮圏の自然・環境資源の保全や最適利用に関わる研究を本格的に進めていこうと決意しました。その後、高知だけでなく南西諸島やフィリピン等でもフィールド調査を進め、海洋自然資源の保全に関する研究を続けています。現在は、特にフィリピンの海洋保護区(MPA)の研究を進めています。

 

 

主な授業題目と内容紹介

環境経済学(プラットフォーム科目)
地球環境問題や公害事件、ゴミ問題といった環境問題は、我々の日常の経済活動の結果として生じており、その理解には経済学的な視点が必要になります。環境問題の解決という社会的要請に応えて確立されつつあるのが環境経済学です。講義では、環境問題分析のための経済学の理論的な枠組と分析ツールを学ぶため、まず環境に関わる具体的な事例から出発し、それを経済学的な視点からどう理解し、どう解決することができるのかを考えます。
自然資源の経済学(専門選択科目)
高知県は、森林や土佐湾の漁業資源、黒潮の影響を受けた造礁サンゴや熱帯・亜熱帯魚類の水中景観など、豊かな自然資源に恵まれている反面、中山間部ではシカ等による鳥獣被害が起こっています。人間社会は自然や生態系を利用し、生産.消費活動を行いますが、その影響でこれらが劣化・消失することも多いです。逆に、野生生物が人間の暮らしに被害をもたらすケースもあり、人がどのように自然とつきあっていくかは難しい問題です。この授業では、経済学の視点から、自然資源の劣化のメカニズムや、それを踏まえた保全や持続可能な利用のあり方について考えます。

卒業論文題目例

・ジオツーリズムによる地域振興の可能性―高知県の室戸市及び土佐清水市のジオパークを事例に―
・日本の屋根設置型太陽光発電の将来の普及可能性―長野県における設置促進の取り組みを事例にして―
・四万十川におけるテナガエビ漁の現状とその資源保護の方策
・食品ロス問題の現状とその対策としてのフードバンクの有効性
・プラスチックごみ問題を踏まえた持続可能なプラスチック利用について
・オオクチバスの生息域拡大による影響と駆除事業
・わが国における油による海洋汚染と防除体制について
・アルゼンチンアリの侵入とその被害―現状とその対策―

その他

◆土佐の海の環境学I;柏島の海から考える(共通教育 教養科目キャリア形成支援分野/視野を広げる科目複合領域)
高知西南端の柏島は、造礁サンゴが発達し熱帯・亜熱帯と温帯の生物が混住する非常に豊かな海を誇り、多くの人を引きつけています。その反面、地域社会は多くの課題を抱えています。この授業では、社会科学・自然科学の教員が参加し、柏島、ひいては高知の海の問題を考えます。座学の講義に加え現地実習を行い、シュノーケリングで海を体感すると共に、地域の方々と座談会を行い、地域の課題や将来についてみんなで考えます。