教員紹介
Faculty Members

 

【社会科学コース】 法律・政治プログラム

稲田 朗子(いなだ あきこ)

 

専門

刑法学

刑法学が専門です。特に刑法総論の違法論や責任論で扱う問題を中心に研究しています。かつて、旧優生保護法により、いわゆる「断種」が、特定の人々を対象に「合法化」されていました。このような「悪法」により合法化されてきた人権侵害についての責任の一端が、刑法学に存在した(あるいは存在し続けている?)のではないか、ということを考え、研究をはじめました。その原因は、どこにあるのだろうということを考えていくなかで、医事刑法や治安立法などにも問題関心が広がってきています。また、高知で実際に起こった交通事犯とされている事件について、専門演習のゼミ生及び他大学の研究者やゼミ生の皆さんと、共同研究を続けています。

 

 

主な授業題目と内容紹介

刑法Ⅰ(専門選択科目)
これから本格的に刑法を学ぼうとする受講生にとってはその第一歩となる科目です。犯罪現象とそれにまつわる法について冷静に考えてみたい、もっと知りたいという人文社会科学部の他コースや他学部に所属する学生の受講も想定した科目です。刑法総論の基礎的な理論を学びながら、単純な処罰感情一辺倒の思い込みと決別し、時として激しい対立が起こる刑法学説の背後にある世界観、価値観への理解を深めることを目指します。また、広く、社会における刑法事象(死刑存廃問題、刑事施設等被収容者の社会復帰等)も扱います。「人権」を理解し、「公共」の問題に対する意識を高めることを目指します。受講終了時には、社会を構成する主体的な「市民」として、これらの問題に関する自分なりの見解を持てるようになることを目標とします。
刑法Ⅱ(専門選択科目)
「刑法Ⅰ」の履修を踏まえて、より専門的に刑法を学ぶ科目です。刑法各論における論点を、判例を読んだ上で理解することを目指します。判例を批判的に読む力をつけることが到達目標です。「刑法Ⅰ」がいわゆる「刑法総論」を主な対象とするのに対して、「刑法Ⅱ」はいわゆる「刑法各論」を主な対象として、刑法典に規定されている個々の犯罪類型についてひとつひとつその成立要件を分析していくこととなります。

卒業論文題目例

・犯罪報道の現在地 —実務の視点から実名犯罪報道の今後を考える—
・戦争犯罪における「政治性」と「侵略の罪」の再検討 -草の根における平和への活動を手掛かりに-
・非行少年の立ち直り支援体制に関する考察―被害者としての側面に着目して―
・監視社会とどのように関わっていくべきか ―共謀罪の検討から―
・死刑存廃論における被害感情の位置付けに関する考察
・入口支援と出口支援についての考察 -高知県における実態調査から―

その他

専門演習での学修の成果として、毎年刑法ゼミ独自の論文集を作成しています。編集作業も、ゼミ生が行っています。