2020年度より、高知大学人文社会科学専攻では、進学後の集大成である修士論文作成に結びつく取り組みの一環として、新たに「プロジェクト研究」を導入することになりました。
「プロジェクト研究」とは、大学院生が複数教員による共同研究グループに参画しながら実践的な研究指導を受け、修論を作成するというものです。従来は、志願者が入学前に研究テーマを掲げて入試に臨み、合格・進学後は、「特別研究」という授業において、指導教員によるマンツーマン指導を受ける形をとってきました。それに対して、この「プロジェクト研究」は、予め志願者に掲示した研究テーマの中から希望の研究プロジェクト・テーマを明示的に選択する形で入試に臨み、合格・進学後は、このプロジェクトに参画することで自身の研究計画を策定し、プロジェクト参加教員の指導を受ける形となります。
本研究の目的は、現代のグローバル社会において「自治 governance/self-government」の理念が直面する問題とそれが持つ可能性について、分野横断的かつ具体的な地域にフォーカスしつつ探求することにある。経済のグローバル化と国家主権の強大化が同時に進行する現在、自治とは何を意味するか、そこにどのような望ましさがありうるか。また現実の地域社会において自治はどのような困難や課題に直面しているか、そうした困難の中で自治はいかにして可能となるのか。
これらの課題について、社会思想史、経済学、文化人類学、文学、言語学等からアプローチし、高知を中心とする諸地域でのフィールドワークおよび諸地域間の比較研究から、自治の持つ可能性を探求することを最終目標とする。
森直人◎、岩佐光広、岩佐和幸、古閑恭子、中西三紀
2019年4月より、外国人材の受入拡大への新たな残留資格が設けられ、外国人労働者の受け入れは新たなフェーズに入った。日本全国で労働力の急激な減少は深刻であるが、とくに高齢化が先行し必要な労働力確保の困難に直面している地方では、外国人労働者が地域の産業と生活の存続に欠かせない存在となっている。その一方で、賃金を含む労働条件の水準が低く、地域における日本語教育環境が不備のままである等、外国人労働者の受け入れと定着には依然多くの課題がある。
本プロジェクトの目的は、
①地方の農業・介護の分野の小規模受け入れ先を対象に、外国人労働力の適正な労務管理に向けて改善課題を明らかにすること。
②地方における高齢社会に、外国人労働者を受け入れる共生社会をデザインすること。
③多文化共生社会の創生に必要な中核人材について、大学を拠点として地域で連携・成するしくみを研究し、そのアウトリーチとして試行すること。
岩佐和幸◎、西島文香、堀美菜、渡辺裕美