教員紹介
Teaching Staff

教員紹介

人文科学コース
日本語・日本文学プログラム
田鎖 数馬

専門
日本近代文学
現在は、谷崎潤一郎と芥川龍之介を中心に研究しています。二人は、「表現」という言葉を大切にした作家です。「表現」という言葉が一般の辞書に載せられるようになったのは明治末期から大正期にかけての時期で、大正期に活躍した二人は、当時の新語である「表現」に強い関心を持ったのです。ただ、そのことがきっかけとなり、二人は論争を行うようになります。この論争の直後に芥川は自殺し、谷崎は大きなショックを受けますが、芥川が残した課題を自らの創作に活かそうと考えます。これは、ほんの一例ですが、このように、ごくありふれた何気なく使われているかに見える言葉であったとしても、その言葉の背後に、その時代に特有の意味が隠されていることもありますし、また、その言葉がきっかけとなって、時代が動き出すこともあります。そうしたことを明らかにすることは、非常に楽しい作業です。授業を通して学生の皆さんと少しでもその楽しさを共有したいと考えています。

主な授業題目と内容紹介

日本近代文学演習Ⅰ
明治期から昭和期にいたる、都市をテーマにした種々の作品を取り上げる。当時の都市空間が作品にどのような影響を与えているのかを、その時代の資料を用いて読み解く。
日本近代文学講読Ⅱ
谷崎潤一郎の作品を取り上げる。母、悪魔主義、検閲、探偵小説、芥川というキーワードを軸に、様々な角度から谷崎文学を読み解いていく。
日本近代文学論Ⅲ
古典文学作品を典拠とした近代文学作品を取り上げ、典拠を改変することで、どのような主題を獲得していったのかを考える。
日本近世近代文学史
江戸初期から昭和初期までの日本文学の歴史を講義する。作家の思想や作家間の影響関係を中心に、広い視野から文学の流れを確認していく。
文学を考える
芥川龍之介の代表的な作品を取り上げる。作品の細部に目を凝らし、新しい読み方を探っていく。

卒業論文題目例

・谷崎潤一郎「異端者の悲しみ」成立考
・泉鏡花「化鳥」考察――〈過去〉を尋ねる物語と〈語り手〉の関係――
・モダンガールの表象にみる一九二〇年代の女性
・志賀直哉「小僧の神様」論
・横光利一「街の底」論
・新美南吉「ごん狐」の挿絵についての考察――谷中安規を中心として――
・谷崎潤一郎「吉野葛」の成立過程―幸田露伴「運命」からの影響―
・武者小路実篤と第一次世界大戦

コースプログラム制

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