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人文科学コース
英米文学プログラム
藤吉 清次郞
- 専門
- アメリカ文学
19世紀アメリカ小説、特にアメリカン・ルネッサンス期の作家たちの小説を研究しています。現在は、小説の登場人物の主体(内面)形成に時代の言説がどのような影響を及ぼしているかを検証しています。時代の言説とは政治、宗教、人種、民族、科学、思想などの問題が複雑に絡み合ってできた「時の権力」のことです。アメリカはご存じのとおり、様々な人種・民族・文化が流入した移民国家ですので、文学の領域でも、アフリカ系、アジア系、ユダヤ系などの作家たちがそれぞれの文化を背景にして主体の問題を描き出しています。アメリカ文学においてほど「主体の在り方」が問題とされるところはないかもしれず、その意味でアメリカ文学は「自分って何者なんだろう」という疑問を抱いている人におすすめできるかもしれません。授業では、科学が高度に発達した現代においても、なぜ文学という虚構(フィクション)が無くならないのだろう、ということをメタ的に問いつつ、人間と文学(物語)の在り方を考えていきます。学生のみなさんにはアメリカの代表的な作品に触れながら、文学を研究することの愉しさを味わい、その過程で方法論意識を高め、ぜひ自らの知的枠組を拡充してもらいたいと思います。 |
主な授業題目と内容紹介
- アメリカ文学概論
- 様々な文学作品の抜粋を読みながら、アメリカ文学の特質を考えていきます。ジェンダー、階級、人種、宗教、政治、思想など様々な観点から、文学作品の有する可能性を探ります。授業では、アメリカ文化・社会・歴史が鮮明にわかるように映画などの映像資料も取り入れます。
- アメリカ文学演習
- アメリカの代表的な文学作品を細かく読み、その上でその作品の先行研究を検討します。授業の主な目標は、アメリカ文学作品の分析を通じて物事を論理的に考え、自分の主張を他の人にわかりやすく展開できる力を養成することです。
- 大学英語入門
- 英語読解力の養成を目指します。その際、英文法の基礎事項を復習すると同時に、英語の発音(リズム、イントネーションなど)への理解も深めます。
卒業論文題目例
・児童文学としての『ハックルベリィ・フィンの冒険』
・女性の生き方をめぐって-『若草物語』と『目覚め』
・映像作品と文学作品-『エデンの東』