国際社会コース International Studies Course

教員や学生のさまざまな活動

国際社会コースでの「活動」をご紹介いたします。

コロナ禍もあけ、交流協定校への留学がぼちぼち復活しつつあります。その第一陣として、韓国明知大学へ留学した藤岡菜実さん。韓国への留学は、日本語教員をめざす彼女にとって大いに得るところがあったようです。そしてそれ以上に、いろんな意味で「広がり」をもたらしてくれる良い機会となったようです。

 

藤岡菜実さん(4年生)
韓国留学体験記

 

交換留学制度を通して韓国へ!

2022年9月から2023年6月の10か月間、韓国の明知大学へ交換留学に行ってきました。以前から韓国語を学んでいたことと、韓国での日本語教育に興味があり日語日文学科で有名な明知大学に留学することを決めました。コロナ渦で大学生活を満喫できていなかった私にとって韓国での生活は自身の成長に繋がる貴重な時間でした。

また、高知大学で日本語教育養成課程を選択していたこともあり、留学前に学んだ日本語教育に関する知識の応用として授業を聞くことができました。実際に韓国での日本語教育現場に参加し、日本語学習者と同様の授業、試験を受けることで「学習者から見た日本語」、「外国語としての日本語」について新たな視点を持つことができたと思います。

 

授業・学校生活の様子

1年間で韓国語専門の授業を2科目、日語日文学科専門の授業を11科目受講しました。韓国語専門の授業では、日本以外からの留学生と共に韓国語を基礎から学び、外国人学習者が間違いやすい誤用を中心に効果的な学習ができました。日語日文学科の授業では、現地の学生に混じり「日本」、「日本語」について韓国人の視点で学びました。

特に印象的だった授業が「日本人の言語生活」です。この授業では、日本語の言語的特徴と日本人の言語生活全般における思考傾向について考え、日韓における文化摩擦についてディスカッションしました。「家族・友人関係においてどこまで踏み込んで良いのか」、「日本人が感情をあまり表に出さないのはなぜか(デモ活動・お葬式など)」、「親友に物を借りる時一声かけるか否か」などをテーマに「個人領域の差」について話し合い、各国の思考傾向を学びました。韓国人の学生とこのような話題について意見を言い合うことで、日本での「当たり前」が「当たり前ではない」ということに改めて気づかされました。

また、この授業は日本への留学経験のある教授が担当していたため、韓国人が日本で生活する中で感じたカルチャーショックや日本の親切さを聞く良い機会となりました。日本語会話の授業では教授のサポート役として韓国人学生の対話相手となり、日本語を教えることの楽しさと難しさを実感しました。その他にも日語日文学科の授業はどれも興味の沸くものばかりで、常にアウトプットとインプットを行いながら学ぶことができました。

 

 

【日語日文学科の授業の様子】
【「日本人の言語生活」での授業メモ】

 

 

授業以外では、春と秋に行われる学祭が印象的でした。韓国の大学では、学祭にK-POPアイドルを呼びアーティストと観客が一体となってステージ楽しむのが一般的です。学祭の公演は誰でも見ることができ学校全体が盛り上がる最大の行事だと言えます。これも韓国留学の魅力の1つです。

 

 

【学祭の様子】

 

 

 

 

様々な出会いと文化交流

留学を通して、韓国人の友達はもちろん、各国から集まった留学生の友達もできました。私の場合、寮のルームメイトがフランス人の留学生だったため、フランスの文化を学ぶ良い機会となりました。韓国の生活は日本とあまり大差はありませんが、フランスとは「衣食住」が大きく異なるため、互いの文化を尊重しつつ生活することの難しさと異文化に触れる楽しさを感じました。また、ルームメイトは英語専攻で留学しており、韓国語が一切喋れなかったため、英語を学び始めるきっかけにもなりました。

明知大学は、留学生サポートが充実していることでも有名です。留学生サポート専門の「アウラミ」という学生スタッフや、日語日文学科が主催する日韓サークル「オウリム」などがあります。これらに参加したことで、韓国人の学生に加え他学部の日本人留学生や正規留学生とも仲良くなり、様々な県出身の友達を作ることができました。日本人留学生での集まりでは、日本語が通じることで安心感を抱くと共に、日本人の中でも「方言」や「地域差」を感じる不思議な空間でした。

日韓サークルでは、韓国人の学生と日本人留学生がグループに分かれ、月に1回グループごとに観光地を訪れました。遊園地や市場だけでなく、西大門刑務所歴史館にも案内してもらい日韓の歴史問題についても学びました。日本人だけでは行きにくい場所を韓国の学生が日本語で案内してくれたことで、日本人学生もより理解を深めることができ、日本では伝えられていない悲惨な事実を痛感しました。日韓交流では明るい面のみを見てしまいがちですが、日韓関係において避けることのできない歴史問題や政治問題についても学び、考え直す機会となりました。

 

【留学生サポートスタッフとの景福宮観光】

 

 

【日韓サークルで訪れたロッテワールド】
【日韓サークルで訪れた西大門刑務所】

 

留学を通して学んだこと

韓国語の習得はもちろん、日語日文学科に留学したことで、韓国での日本語教育現場を体験でき、多くの気づきを得ることができました。日語日文学科への留学でしたが、授業は全て韓国語で行われ、試験やレポート、課題も基本的に韓国語での提出だったため、4技能(聞く・読む・書く・話す)全てにおいて韓国語力を向上させることができました。また、流行語や若者言葉、方言といった教科書では学べない韓国語を習得することができ、韓国語に対する興味の幅が広がりました。特に、韓国語の方言をテーマとした卒業論文に関する調査を現地で行うことができ、有意義な学習ができたと思います。

さらに、韓国語だけでなく、言語の通じない場面においてコミュニケーションを取ろうとする行動力も身に付けることができたと思います。留学生活を通して、ジェスチャーを使ってでも相手と意志疎通を図ろうとすることの重要性を強く感じました。帰国後、一番に感じたのが「日本語が通じることのありがたさ」です。日本にいると気にすることすらなかった点に気づき、物事を捉える視点が変化したのは留学を経たからだと思います。海外での生活は簡単なことではありませんが、視野を広げ自分自身を見つめ直す良い機会になるため、少しでも留学に興味のある方は是非挑戦してみてください!

 

 

掲載日 2023.12.14

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